「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。他人を害する者は、なぜ他人を害せるのでしょうか? サイコパスのような感情の欠落した合理主義者でなければ、その大元には「自分は被害者である」という認識があります。
被害者意識の大元には苦痛(心の毒)があり、それによって理性が狂わされれば、無関係の人間をも対象にして加害の正当性を与えます。
今回の記事は、そのメカニズムを解明します。
被害者意識がもたらす、加害する権利意識
他人に害を及ぼす権利
復讐や仇討であれば、他人に害を及ぼしても良いように思えます。法律上は許されませんが、心情的には、賛同できるケースも多いのではないでしょうか。
被害という事実は、心情的に、加害しても良い権利を与えるものです。
当事者でなくても構わない
Aという人物から被害を受けた。 or 他人から被害を受けた。
どちらで認識されているかによって、状況は大きく異なります。前者であれば、復讐しても良い相手はAだけです。後者であれば、困ったことに、誰にでも無差別になります。無差別に攻撃して良いと考える心境とは、どんなものでしょうか?
・今まで自分は、ずっと損ばかりしてきた。だから少しくらいの万引きは、許されて当然。
・自分が受けてきた苦しみは凄まじかった。だから私には、他人に暴力や詐欺などで加害をしてでも、得をする権利がある。
・通り魔のような行為が許されないとは知っているが、苦しんできた私なのだから、罪や過ちのようには感じられない。
例えば、こんな形です。
イジメの連鎖があります。学校でいじめられて、自分よりも弱い弟や妹をいじめる。姑にいびられて、自分がその立場になった時に嫁をいびる。虐待を受けた子供が親になり、わが子を虐待する。こうした行為も、心情的には、「自分には権利がある」と思っている側面があるのです。
あなたも、自分が何かの加害者になった時の心境を思い出してみてください。思い当たる経験が、どこかにあるのではないでしょうか?
属性に対しての権利意識
個人と他人全体の間に、属性があります。日本人、男性、関西人、高学歴者、金持ち、といったものですね。
例えばフェミニストの中には、男性への憎悪を剥き出しにして活動している人も目立ちます。男女差別、性被害などを受けて、男性という属性で権利意識を持っているからです。ですからその言動は、女性差別や性犯罪者とは縁遠い一般男性にも、攻撃性を向けがちになります。
国と国とで険悪な時にも、こうした属性への攻撃性が目立ちます。災害被害や経済悪化を露骨に喜んでしまう人達の存在は、外側から見れば辟易とさせるものです。
狂気をもたらす、心の毒を減らす
狂気のある場所
気分が落とされてしまえば、人は誰しも、狂気を心に抱きます。心に毒が溜まれば、気分は落ちます。心の毒とは、マイナス方面への動揺そのものです。「嫌」と乱れれば、そこには毒が発生していると思ってください。
大きな理不尽から、冷蔵庫を開けたら楽しみにしていたプリンが無かったという些細なものまで、大なり小なりで動揺は起こります。それが処理されずに蓄積されると、慢性的に気分を落とします。
激しい動揺で大きく乱れたとしても、突発的なものであれば、気分の落ち込みは慢性化しません。立ち直ります。逆にどんな小さなものでも、蓄積されていけば、落ち込んで立ち直れなくなります。
そうして落とされた気分のある領域に、「誰でも良いから傷つけたい。自分にはその権利がある」と考える、狂気の部分があるのです。
鋭い方はお気づきでしょうが、心の毒が発生した事実そのものが、その人にとって「被害」を意味するのです。
低い気分の領域で、性格が悪いという訳ではありません。似たようなものですが、少し違います。欠如するのは、直接的に正しさではなく、理性です。何が何やら判断がつかない状況の中、自分を加害した者とまったく無関係な人間との区別がつかなくなります。
それが「誰でも良いから傷つけたい」という無差別な衝動になり、意識の表面上で働く理性によって加工された結果が、先ほど例示した
・今まで自分は、ずっと損ばかりしてきた。だから少しくらいの万引きは、許されて当然。
・自分が受けてきた苦しみは凄まじかった。だから私には、他人に暴力や詐欺などで加害をしてでも、得をする権利がある。
・通り魔のような行為が許されないとは知っているが、苦しんできた私なのだから、罪や過ちのようには感じられない。
・とにかく男が憎い、〇〇人が憎い。
これらのような様子です。
心の毒を減らす
この問題を解決するには、2つの方向性があります。
・理性を強化する
・心の毒を減らす
理性を強化すれば、区別がつくようになります。区別がつけば、無関係の存在に権利意識は持ちません。しかし理性を狂わせているのは心の毒で、大量にそれを抱えたまま理性を強化するのは困難です。
従ってここでは、「心の毒を減らす」方向性が、より現実的でしょう。心の毒が減れば、狂わされていた理性も正常化されます。
具体的な心の毒の減らし方については、次回のブログ記事にてお伝えします。
「精神的苦痛(心の毒)は、増えたり減ったりする物質である。」
→ http://kokoro.click/kokorodoku
まとめ
人は誰しも、理性によって攻撃性をコントロールしています。自分が被害者という立場になると、理性はその度合いに応じて、加害する権利を与えます。この時、心の毒によって理性が狂わされると、無関係の存在にまで権利が拡大します。
この問題を解決するには、心の毒を減らし、理性を正常化させることです。
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