「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。人はそれぞれ、自分の尺度を持っています。生まれ持った性質に、経験と見識が重なり、物事を判断する基準にしています。
性質、経験、見識は、他人と完全には共有できません。ですから尺度は、それぞれで違って当たり前です。しかし得てして人は、「自分の尺度こそが、絶対に正しい」という感覚に陥りがちです。
今回の記事は、「他人の苦痛と事情を、自分の尺度だけで判断しないようにしましょう!」という、常識的だけれど、難しい課題に取り組みます。
「人は、それぞれ違う」という当たり前
人がそれぞれ違うのは、当たり前です。しかしその当たり前は、度々、見落とされるのも事実です。
どのように、人は違っているのか? に焦点を当てて、一度、しっかりと考えておきましょう。僕自身のケースを用いて、解説します。
能力や適性などの違い
先天的に、既に人は同じではありません。自分にとって当たり前に出来ることが、他人には出来ない。自分に出来ないことを、他人は当たり前のようにやれる。という差異は、早い段階、幼少期から表面化します。
小学校に上がれば、勉強、運動、図工などで、他人と比べての多くの得手不得手を知るに至ります。基本的にそれらの傾向は、一生、変わるものではありません。
例えば僕は、物事をテキパキとこなすのが苦手でした。判断と動作が遅く、モタモタとしてしまうのです。
これは今でも同じで、食器を洗う際にも、「どうして、そんなに時間がかかるの?」と妻から不思議がられます。逆に僕は妻の様子を見て、「何というスピードだろう!」と、その度に感嘆しています。
体質の違い
僕は元々、体の強い方ではありません。病弱、虚弱体質という程ではありませんが、肉体的な無理が利かない方です。よく「若いうちは、徹夜しても平気だった」という声がありますが、僕は10代、20代の頃も、徹夜をした次の日は、ボロボロでした。
これを本人は自覚しているので、残業が多い、夜勤があるような仕事は、最初から選択肢に入れていません。
またタバコの煙に極端に弱く、子供の頃から、外出時にはタバコの煙を避けるようにしています。タバコの煙のある場所では、辛さに耐える覚悟が必要です。
すると周囲の人達は、僕の体力を年齢の標準で想定し、タバコを極端に嫌がるとは想定しません。困ったのは、後者です。小学生の頃、周囲の大人たちは、僕の前で何の躊躇もなくタバコに火を点けます。タバコの煙が苦手だと訴えても、何も変わりません。
僕のコミュニケーション能力、言い方の問題もあったのでしょうが、「タバコの煙が嫌いとは言っても、これくらいだろう」と、自分の常識で高を括られていたのでしょう。その上で、僕が大袈裟に言っていると解釈していたのかもしれません。
価値観、感覚の違い
僕は元々、かなり寛容な人間です。ですから子供の頃、他人にもそれを想定していました。この想定がズレているばかりに、コミュニケーションに支障が生じます。僕の言動で傷ついたり、嫌がったりされるケースが多く、よく先生から叱られていました。
「小池君、自分がされて嫌なことを、他の人にしてはいけないと、何度も言ったでしょ!」
と言われたある時、僕は気付きました。自分の感覚が特殊で、この指針が役に立っていないのだと。僕は顔面蒼白になる勢いで、焦りました。自分の感覚で生きていったら、何度でも同じ事を繰り返す。このままじゃ、社会で生きていけない。
僕はそれまで、何も考えずに、のほほんと生きていました。しかし、その日を境に考える人間に変わりました。他人を観察してデータを集めて、一般的なラインを把握しなければなりません。自分の感覚から類推できないので、とにかく多くの情報量が必要です。
小学一年生から目覚めて、その辺りの感覚が常識の範囲内に収まってきたかなと評価できるようになったのは、30代中盤くらいでした。まあ、随分と時間がかかったものです。
自分の尺度を押し付ける
不幸は、自分の尺度を押し付けることから始まります。妻が僕の手際の悪さを見て、「チンタラしてないで、もっと早くやって!」と怒鳴り散らしていたら、どうでしょうか。同居人の喫煙者が、自由気ままにタバコを吸っていたら……。僕が、周囲の人たちの方がおかしいと、嫌われる言動を繰り返していたら……。
他にも、体力のない人に、オーバーワークを課してしまう。苦手だと言っているのに、美味しいからと無理に食べさせようとする。
など、この種の不幸を見つけるのは、難しくありません。
自分の尺度を過信しない
それでは自分の尺度に捕らわれず、物事をフラットに見るためには、どうすれば良いのでしょうか?
全てを正確に認識する尺度など存在せず、自分も決して、例外ではないと知る事です。
少数派は、必ず存在する
確かにボリュームゾーンに張っておけば、高確率で的中させられます。しかし確率が9割だったとしたら、逆に10回に1回は外れる理屈です。
意外に、自分は常に高確率の方を引き続けると信じて疑わない人たちが、結構の数でいます。目の前の一回一回だけにしか意識が向かず、全体を広く見ていないからです。
常に、少数派、珍しいものに当たる確率はあるのだと、意識しておきましょう。この意識を持つだけでも、かなり尺度の幅を広げられます。
自分の尺度の方が、狂っている
人には必ず、偏りが生じます。国籍、地域、文化圏、性別、職業といった属性で、まず経験する内容が変わります。
加えて、個人的な経験、強烈な印象などによって、バイアスが生み出されます。バイアスとは、見方の偏りの意で捉えてください。先入観、願望、都合などで、捉え方が狂います。 バイアスによって蓄積された誤った認識は、再びバイアスを強化するか、新たなバイアスを生み出します。
このようにして大なり小なり、尺度を狂わせているのが普通です。自分で自分の間違いに気付くのは、至難です。しかし自分が間違っている可能性を想定する事なら、誰でも出来ます。
他人の話を、ちゃんと聞く
自分の尺度に絶対的な自信を持っている人は、他人を低く見て、まともに話など聞きません。何でもかんでも自分の知っている枠組みの中に物事を押し込んで、ズレていたとしても、理解した気になってしまいます。
世の中は、常に変わっていきます。新しい情報にアップデートし続けなければ、すぐに時代遅れにされます。前提となる知識が違えば、結論も違って当たり前です。またそれ以前に、他人には、自分が知らない情報、盲点になっている観点があります。
それら全てを、聞く価値がないと決めつけているのだとすれば、とんだ思い上がりです。
まとめ
他人は、違って当たり前。自分の尺度で他人を測れば、ズレてしまうのも当たり前。ズレた判断を押し付ける事で、不幸が生まれる。
自分の尺度が妥当だったとしても、少数派は存在する。尺度そのものが、狂っている場合だってある。思い上がらず、他人の話をちゃんと聞く姿勢が重要。
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