他人のために行動すると、なぜ心が豊かになり、精神が安定するのか？

他人のために……は、自分の心に返ってくる！

　情けは人の為ならず、とよく言いますが、それは出来事として返ってくるまでもなく、瞬間に心の中で起こっています。

他人への評価も自分への評価も、基準は同じ

・自分の利益や欲求のための行動
・他人を助ける、幸せにするための行動

　あなたが人間性として高く評価するのは、どちらでしょうか？　ほとんどの人は、他人のために行動する人を選ぶでしょう。

　家族のために一生懸命に働く親、友達のために親身になれる人、社員思いの社長、熱心な学校の先生など、良く思わない人はいません。素晴らしい人間性として、ステージの高い人物に評価されます。

　一方、自分の利益や欲求のために行動する人はどうでしょうか。別に自分のためだからと、悪くは思われません。向上心のある努力であれば、称賛もされます。自分の欲求に素直な姿勢も、好意的に見られる場合が多いです。ただ他人への害や迷惑を省みないのであれば、自分勝手、ワガママと見なされます。

　あなたの他人を見る目も、これと大きくは違わないでしょう。

　自己評価の場合を、考えてみます。人間性を評価するのに、自分と他人とで基準が違うはずがありません。他人を助ける、幸せにするために行動する自分は、同じように高く評価されます。人間性に素晴らしく、ステージの高い人物です。

自尊心は自らを支える柱になる

　尊いという言葉には、二つの意味があります。地位や立場の高さと、価値の高さです。ですから自尊心にも、自分は地位や立場が高い人間である、自分は価値の高い人間である、という二通りの意味があります。

　他人のための行動は、後者の意味での自尊心を育てます。人間の価値は、他人との関わり合いから生まれます。一人、無人島でサバイバル生活をしている人に、人間の価値も何もありません。誰かの助けや利益になって、初めて人としての価値が見出されます。

　ですから他人のために行動する人は、自然と「自分には価値がある」と思えるようになります。他者を称賛するのと同じように、自分へも称賛を送ります。自分という存在に自信と誇りが持て、堂々とした気持ちで社会生活を送っていけます。

　自尊心は、自らを支える柱になるのです。

自分のためにしか動かない人は、自分の価値を見失う

　とは言え人間社会は、富とポジションを奪い合う競争の場でもあります。少しでも良い生活がしたい、良い思いをしたい、と考えるなら、他人のためを思う余裕などないかもしれません。人それぞれの事情があるので、仕方のない部分もあるでしょう。

　ただそのように生きていると、自分の価値を見失います。自尊心が低くなり、自分を好きではなくなり、卑屈さが出てくるようになります。自己肯定を他人よりも優れている何かに求めるようになり、他人や社会を敵対視するようになります。

　自分の価値を見失えば、どうしても心は貧しく、精神は不安定になります。

豊かな心は、自尊心から

　心が素直に反応して、優しさも思いやりもある。そんな豊かな心は、自尊心を土台にして育まれます。

　そして自尊心を高めるには、行動から入ってください。最初は、半信半疑で構いません。とにかく他人のために、行動を起こしてみてください。出掛けたついでに、家族にちょっとしたお土産を買ってかえる。手が空いた時に、大変な人の仕事を手伝ってあげる。など、その人のためになるなら何でも構いません。

　きっと心の中に、喜びや誇らしさを感じられるでしょう。行動に連れられて、心は後から付いていきます。よく解らなくても、騙されたと思って続けてみてください。気付けば、自己評価が上がっているはずです。

まとめ

　他人のために行動する人の方が、精神的により健康でいられます。自己評価と自尊心が高まる他、他人との関係性、社会的な立場も良くなっていきます。

　一つの良いことが、連鎖して続いていくのです。

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