「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。転売屋は、ネット上では揶揄をこめて転売ヤーと呼ばれています。それがマスクの買い占め問題で、さらに忌み嫌われるに至っています。
では転売屋は、どれ程、社会に有害な存在なのでしょうか? けれども転売屋には、転売屋の言い分や思いもあります。彼らは何故、その商売を行っているのでしょうか?
転売屋、転売ヤーとは、どのような存在か?
昔から、転売ビジネスは存在した
転売ビジネス自体は、昔から存在しています。それこそ、貨幣が誕生する以前、物々交換が主流だった頃からの話でしょう。
僕が真っ先に思い浮かべるのは、チケットの転売です。人気アーチスト、人気プロ野球チームのチケットは、需要と供給のバランスが合っていません。チケットを欲しい人がたくさんいるので、定価で買えば、必ずそれ以上の値段で売れます。
ですから、最初から転売目的で、早朝からチケットぴあに並ぶ人もいました。今は取り締まりが厳しくなって見かけなくなりましたが、人気コンサート会場、巨人戦の球場周辺には、必ずダフ屋を見かけました。
ただこうした転売は、やれば儲けられるとは知られていたものの、時間と手間を取られます。ぼろ儲けできる、割の良い商売と思われてもなく、プレーヤーの数は限られていました。
古本や骨董品などのジャンルでも転売ビジネスは存在していましたが、こちらは目利きを必要とするために、一部の玄人だけのものでした。
転売ビジネスが盛り上がった理由
しかしインターネットが普及すると、転売ビジネスは加速度的に拡大します。ヤフオク、メルカリ、アマゾンなどを誰もが気軽に利用できるようになり、売り易さが各段に向上しました。
様々なツールも開発され、目利きの必要もなくなりました。商品を入力すれば、すぐに幾らで売れるのかが判明します。
また転売ビジネスの大きな魅力の一つに、初期費用とリスクの低さがあります。パソコンやスマホがあれば、商品の購入費用のみで始められます。しかも既に値がついて取引されている商品なら、少なくともひどい赤字にはなりません。
このような取り組み易さから、ネットビジネスの初心者は、転売からスタートせよ! と推奨される程です。
儲かりさえ、すれば良い
通常、転売ビジネスに社会的な理念はありません。つまり社会貢献の意識は、微塵もなくて普通です。転売ビジネスに、仕事としての誇りを持っている! というのも、聞いた事がありません。
そういった人たちですから、コロナウィルスのマスク転売のような動きは、出てきて当然です。
リアル店舗であっても、高値をつけて売ろうと思えば、もちろん出来ます。しかしそれをすれば、客の弱味に付け込んだ悪徳な店と見なされ、以降の商売に差し障ります。ところが転売屋に、そのリスクはありません。
転売屋という存在の、功罪
普通に買いたい人が、買えなくなる
儲けられる人気商品は、多くが転売屋の手に渡ります。すると普通に欲しい人の多くが入手できず、どうしても欲しければ、転売屋から高値で買うしかありません。
需要と供給のギャップをついて、その差分で利益とするのです。大勢の人が欲しがる物を先に押さえて高値で売り抜けるのは、経済システムに巣くう寄生虫のような行為です。
このような商売に心象が良い道理もなく、転売屋は疎まれる存在になりました。転売屋のアテが外れて、値崩れを起こした時には、「転売ヤー、ざまぁw」と喜びの声が上がるほどです。
お店で売る側からすれば、誰が買おうと利益は同じです。ただ折角なら、その商品を使って喜んでくれる人に売りたいと思うのが人情です。店側の方でも、次第に転売対策を取る動きが目立つようになってきました。
但し、お金がある人にとっては、転売屋は有難い存在でもあります。大きな目で見れば迷惑行為であっても、誰かの役に立っているのも事実です。
場合によっては、便利な存在
しかし転売屋にも、部分的には社会的な価値があります。例えば、古いおもちゃ屋さんに積まれて埃を被っていたプラモデルが、プレミアものだったとします。これを転売屋が発掘して、市場の表舞台に出すから、欲しい人の目に留まります。
欲しい人がいて、商品もあるのに、交わらなくて手に渡らない。転売屋が動くからこそ、滞っていた経済が動いたという訳です。このような商売であれば、その差額の利益も、社会貢献に対する正当な報酬と見なせます。
ブックオフやハードオフを回っている、トレジャーハンターのような転売屋も多いです。
倫理基準は、人それぞれ
マスク転売で悪名を一気に轟かせた転売屋ですが、全員が全員、そのようなメンタリティーではありません。
基本的には理念もなく、儲けられれば良いという商売ではあります。しかし、さすがに人の命がかかった物は扱えないという人だって、多くいます。
お金儲けのために、どこまで倫理に背けるのかは、人それぞれです。マスク転売で大儲けしている人であっても、「他人の命なんか知ったことか!」とまで、振り切っている人は稀でしょう。
お金が余計に動いて自分の手に入るだけで、結局は流通して使われるのだから、他人の命を奪っている訳ではない…… といった正当化は、あって当然です。どのような形であれ、心情としての倫理的な落しどころはつけているものです。
小池義孝の転売経験
とは言うものの、僕にも転売で儲けた経験があります。治療家をする以前、僕はゴルフ用品のネット販売をしていました。
ヤフーオークションをチェックし続けていると、たまにタイミングで、相場よりも安く買えてしまうもの、正規の仕入れよりも安く買えてしまうものがあります。そういった商品を落札して、高値で売るという行為を繰り返していました。
特にヤフオクの最初の頃は、写真撮影も雑、商品の説明もなっていない、個人から買うのは怖い、といった理由で、落札価格が安くなる物が多くありました。これを落札して、綺麗な写真でちゃんとした商品説明をし、企業の信頼を付けたなら、高い値段で売れたのです。
おそらくこうした転売なら、社会からも悪い印象は持たれないでしょうし、僕自身にも後ろめたさはありません。
まとめ
転売ビジネスは、誰もが気軽に始められるため、大勢のプレイヤーを生み出しました。基本的にそこには、理念はありません。ただ経済システムの中で上手に立ち回り、お金を自分のところに落とさせるだけです。
人気商品は転売屋が先に押さえてしまうので、本当に欲しい人にとっては迷惑です。マスク転売のように、人の命に関わるような分野でも、儲けようとする人が大勢います。ですから彼らは、世間から嫌われ、疎まれています。ただその辺りの倫理観は、人それぞれです。全員が同じではありません。
眠っている商品を掘り起こすトレジャーハンターのような転売ビジネスであれば、社会的にも大いに価値があります。
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