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子育て、教育方針の誤り。大切な我が子だからこそ、間違える。

投稿日:2019年6月25日 更新日:

「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。大切な我が子に、自分が経験した財産を伝える。当たり前に行われる、素晴らしい行為です。しかしその人が得た人生に役立つ教訓は、その人だからこそ通用するものです。言い方を変えれば、後出しジャンケンの要素があります。

 愛するが故に、陥りがちな盲点の話です。

 

愛しい我が子だからこそ、確実なものを伝えたい

勉強 < 挨拶と礼儀

「勉強なんか出来なくても良い。挨拶と礼儀の方が大事」

 こういった方向性の子育て、教育方針を何度かは耳にした経験があると思います。

 そこで知人が、面白いことに気付きました。こういう発言をする親は、勉強をしてきていないタイプが多いそうです。僕も記憶を振り返ると、確かにそんな気がします。

「学校は勉強よりも、友達を作る方が大事。学校で作った友達は、一生の財産になる」

 同じ方向性で、このような発言も散見されます。共通点は、勉強への過小評価です。

自分の成功体験に頼る

 少し考え、ある傾向に焦点が当たりました。親はカワイイ我が子を教え導く時、自分の成功体験に頼るのです。

 勉強をして来なかった親は、勉強を積み重ねて得られるものを知りません。高学歴なり、資格なり、を常識的な知識としては持っていますが、経験上のものがありません。

 しかし挨拶をきちんとする、礼儀を正しくする方は、それによって学校やグループの先輩と良好な関係になったり、職場で上手くいったりといった経験があります。

 友達を作るのも、同様です。友達と過ごした楽しい日々、精神的に支え合い、困った時には助け合う。そういった世界を知っています。

 知識としてある一般論としての良いものと、人生経験から言える確証のある良いものとでは、後者の方が重いのです。経験して素晴らしさを知っているものの方を、より強く確信するのは当然の心理でしょう。

自尊心と価値観

 また自分が持っていないものの価値を下げ、持っているものの価値を上げ、自尊心の材料としている側面もあるでしょう。

 いえ、誤解がないように言っておきますが、その行為が悪いのではありません。高得点になるように自己採点の基準を操作するのは、当たり前です。よほど自嘲や自己否定が強い人でない限り、多かれ少なかれ、誰もが行っています。

 しかしその採点基準は、自身に最適なようにカスタマイズされたものです。長所、短所、過去の歴史、現状の在り方、想定される未来、などを考えて、より高く自分を評価するために調整されています。イメージの悪い言い方をするなら、後出しじゃんけんで勝っているようなものです。

 これを我が子に適用すれば、違う個性を持った人間なのですから、自分と同じようにはフィットしません。

僕も決して、例外ではない

 またある知人は、自分がそろばんを習って、簿記の資格を取り、経理の仕事に就いた成功体験を持っています。それで子供にも、そろばんを習わせるそうです。

 この道が悪いとは言いませんが、子供の内から経理の仕事をイメージするのは、選択肢を狭め過ぎではないかと思います。

 僕の場合には、小さな頃から、テーマを持って考え続けてきた歴史があります。ですから子供たちにも、「勉強なんてほどほどで良いから、とにかくよく考えなさい」と言ってしまいそうです。

 両親が東大出の子供は、「自分も将来、東大に入る」と言っています。両親は東大を卒業する利益を熟知しているので、子供にもその利益を得て欲しいと考えます。

 僕は東大は東大でも、東海大学ですし、今の仕事は学歴なんて関係ありません。ブランド大学を卒業する利益について、常識的な知識は持ち合わせていますが、自身の経験ではないのでピンと来ない部分もあります。

 ですから僕の価値観は、「とにかく実力をつけろ」です。実力さえあれば、ブランドなんていらない。実力でこじ開ければ、ブランドなんて後から付いてくる。という意識で、子供に接しています。

 つまり僕も決して、例外ではありません。自分の成功体験から、自信を持ってお勧めできる道を、推してしまうのです。

 父が僕に接していた姿も、同様でした。カリスマ的な不良で元自衛官の父は、僕にただひたすら、気合と根性を叩き込もうとしました。僕には合わないなあと思っていたのですが、「とにかく実力をつけろ」に、かなり反映されている気もしますね。

 

 

 

 

自分が通っていない道

 子供を教育する際、人生経験から得られた良い情報、成功体験を伝えようとするのは当然です。ただ気を付けないと、自分が持っていない他の可能性は、軽視してしまいます。

 自分が通っていない道を、どう正当に評価するのか? 教育方針において、ここは重要なテーマになります。

 しかし親の価値観は、その家庭文化のカラーです。無色でいるよりは、濃厚な色の中で特色を持っていた方が、子が育つ環境としては望ましいとも考えられます。自信を持って伝えられるものを、しっかりと伝えるのは、親としての責任です。

 全ての価値に平等に接するのは、一人の人間には不可能です。多様な大勢の人間が集まって、何とかその体裁を整えるのが精一杯なのですから。

 自分が通っていない道にも、大きな価値がある。しかし自分が自信を持って伝えられるのは、この道である。と、自信を持って伝達していく。このバランスを意識すれば、可能性を狭めるリスクを抑えながら、自身の経験知も伝えられます。

 各々が、一度、真剣に考えてみるべきテーマです。

 

 

 

まとめ

 命よりも大切な我が子に、よく知らないものを教育できないのは仕方ありません。自身の経験を持って、確証のあるものを伝えるのは真っ当な行為です。

 けれども自分が通らなかった道にも、他の価値があります。その道を閉ざさないように配慮をしながら、経験知を伝えていきましょう。

 

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