「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。咄嗟に、言い逃れの嘘を吐いた経験は、誰にでもあるでしょう。その時の自分の様子を、思い出してみてください。考えるのに必死で、アップアップになりませんでした?
そこで声の感じに、違いが出ます。言い逃れの嘘を吐く時に、同じ発声ではいられません。
嘘=創作には、多大なエネルギーが必要になる
話を思い出す/創作する、の違い
例えば、浮気の容疑をかけられて、尋問されたとします。本当に浮気をしていたとして、何とか逃げ切らなければなりません。浮気を追及する側は、そこに説明できない、矛盾する部分にアンテナを張っています。浮気を隠すためには、自然で矛盾の生じない嘘が求められます。
昨日の夜、どこに行っていたの? という質問には、事実を伝えられます。取引先の人と飲みに行こうとなって、妻も遅くなると言うので、報告する必要性がなかっただけです。どこの誰と、何時に、どの店に入って、何を注文したのか、を思い出して説明します。
先週の土曜日、名古屋に出張と言っていたけれど、本当? という質問には、事実を伝えられません。名古屋に出張に行ったのは事実ですが、浮気相手を連れています。二日間をどう過ごしたのか、浮気相手の存在を消しながら、上手く話を作らなければなりません。
嘘とは何か? を少し突き詰めると、話の創作になります。まあ、当たり前です。思い出す作業と、創作する作業とでは、質が異なります。この質の違いが、声の感じの違いになって表れます。
創作の負担は強い
一般的に、思い出す作業と、創作する作業とでは、後者の方で負担が強くなります。思い出す作業は、思い出せるか、思い出せないか、だけです。創作する作業は、自分で設定とストーリーを作らなければいけません。ただ作るだけではなく、そこに不自然さはないか? 矛盾は生じていないか? のチェックも必要になります。
場合によっては、相手が何を知っていて、何を知らないのか、の推測も必要になります。もしも相手の知っている事実から矛盾が生じてしまえば、そこで嘘とバレます。「昨日、誰と会っていたの?」と尋ねられた時、何も知らないのであれば、浮気相手ではない人で嘘をつけます。スマホを見るなどで知られている可能性があるなら、浮気相手の名前を出した上で、やましくない理由を作らなければなりません。
これだけ違う作業をしているのですから、様子がまったく同じというのは有り得ません。必ず、どこかに違いが出ます。
思考にリソースを使っていると、声が疎かになる
リソースというのは、この場合にはコンピューターのCPUやメモリを考えてください。コンピューターができる作業量には、限界があります。パソコンでいくつも同時にソフトを動かしていて、動作が鈍くなった経験はお有りでしょうか? こういうのを、「リソースが足りない」と表現します。
人間の脳も、事情は同じです。同時に処理できる量には限界があって、無理を試みれば何かの動作が鈍くなります。嘘を創作する作業には、多くのリソースを必要とします。すると、発声に回せる分が不足するのです。
発声にリソースが必要と言われても、ピンと来ない人も多いでしょう。ほとんど無意識の世界ですが、僕たちは声を出す作業に、けっこう気を使っています。まず相手に伝わるよう、音量と明瞭さを確保しなければなりません。その上で声の質やイントネーションなどを微調整して、文字以外の部分での意味を付けます。こうして改めて説明されると、「なるほど、これは多くのリソースを使っているな」と納得できると思います。
あまり思考の負担が強いと、リソース不足の発声にならざるを得ないという訳です。動揺してすぐに嘘だとバレてしまうタイプもいれば、あまり動揺せずに解り難い人もいます。後者で平然としていても、リソース不足までは避けられません。
リソース不足の声を見破る
リソース不足の声は、細く高くなる
しどろもどろに嘘を吐いている人の姿を、想像してみてください。その人の声は、細く頼りなく、高く上ずっていないですか? ここには動揺している分の変化はありますが、大きくリソース不足が影響しています。
ですから普段の声よりも細く高くなっていたら、創作しながら話しているのでは? と疑えます。
また嘘を吐く人は、あえて冷静さを装いもします。こうなると逆に、意図的に声を低く出そうとします。ただ発声にリソースを振り分けたなら、今度は思考でリソースが不足します。話がスムースに行かない、遅れがちになる、矛盾点を出してしまうなどのミスを誘発します。
冷静さに努めていても、リソースが不足している以上、普段と同じには行きません。冷静に低い発声をしている時には、会話のテンポを上げて、付いて来られるかを見ましょう。
嘘の確定は、証拠をもって
嘘を見破れるとは言っても、100%ではありません。バイアスと言って、怪しいと思って見ると、同じものでも怪しく見えてきます。
こうした嘘を見破るテクニックは、事実か嘘かのアタリを付けるのに用います。嘘の確率が高いと判断したなら、裏を取って証拠を見つけましょう。もしも自身の見破る目を過信して間違ってしまえば、その時は無実の罪で相手を責めてしまいます。
基本は、客観的な証拠を握る。それが出来なければ、自分が知っている事実を隠して、相手に嘘を吐かせる。の2点です。
まとめ
人は言い逃れの嘘を吐く時、即興で話を創作しなければならない。すると脳のリソースが不足して、発声が疎かになる。声は無意識に、細く高くなる。もしも発声で平静を装えば、今度は思考が疎かになる。
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