「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。三組に一組が離婚するというデータも示すように、夫婦関係を良好に保つのは、なかなかに高難度のミッションです。
一緒に暮らしていれば、何かしら、気に入らない部分はあります。そこで感情の赴くままに不平不満をぶつけている内に、夫婦関係がギクシャクし、冷え切ってしまう。そんな事例が、多くあります。
今回の記事は、不平不満をぶつけて上手く行かない理由と、夫婦関係を良好にするコミュニケーションについて、お伝えします。
不平不満は、夫婦関係を冷やす
感情に任せた不平不満の連続は、夫婦関係を冷やします。それは不愉快に対して、不愉快にさせる報復だからです。
不平不満 = 不愉快 + 怒り
不平不満を表明する時、そこには不愉快さと怒りがあります。不愉快さは、電波して相手を不愉快にさせます。怒りは、危機感を覚えさせます。屈すれば恐怖となり、屈するのを拒否すれば怒り返しになります。
つまり不平不満をぶつけられた相手の心の反応は、
不愉快 + 恐怖
不愉快 + 怒り
不愉快 + 恐怖 + 怒り
の何れかになります。
そこに相手の主観にとって、理不尽か否かが加わります。不平不満をぶつけるだけの正当性が、あるかどうかです。
感覚的ではありますが、正当性の度合いに応じて、不平不満をぶつけられても良いラインが引かれます。そのラインを超えた分は、「被害を受けた」とカウントされます。
相手は、被害をカウントしている
不平不満をぶつける側は、自らの正当性を疑っていません。主観で正当性があると判定しているからこそ、そう出来るのですから。
しかし多くのケースで、この正当性にはギャップが生じます。通常の夫婦関係に、相手を困らせてやろう、大変にしてやろう、傷つけてやろう、といった悪意はありません。悪意がなく責められる事態では、
・事実誤認
・うっかり
・意識や感覚の違い
の何れかが、原因になっているはずです。
事実誤認、うっかりは、悪意はなくても非はあります。頻度や損害の大きさなりに、責められても仕方はありません。
しかし意識や感覚の違いでは、主観的に非はありません。自分としては間違っていないところ、異なる価値観の正義の刃によって、断罪される形です。
喧嘩をしたくない、波風を立てたくない、といった争いを避ける選択をしたなら、不条理な不平不満であっても甘受されます。
外見上は非を認めているように映りますが、内心では逆です。事実誤認、うっかりだったとしても、その責任以上に責められれば、被害としてカウントされます。意識や感覚の違いで責められれば、同じように被害としてカウントされるか、譲った貸しとしてカウントされます。
相手をコントロールする手段として、味をしめる
不平不満をぶつけて、自分の言い分が通ります。するとそれが成功体験になって、相手をコントロールする手段として、味をしめる形になります。
「嫌な思いをしたくなければ、私の言う通りにしろ。機嫌を取れ」というプレッシャーで、関係性を支配するのです。
不平不満をぶつけ合う関係
互いに不平不満をぶつけ合い、悪循環に陥るケースもあります。言われた分は、自分の方も言い返さなければ気が済まない。ヒートアップすれば、怒りが怒りを呼んで、互いに激しく傷つけ合います。
裏を返せば、どちらの価値観を主軸に置くかの覇権争いです。この争いの先には、関係の破綻しかありません。
どちらかが折れて譲れば、当面は平和になります。しかし潜在化では、被害と貸しのカウントが始まり、爆弾を抱える形になります。
夫婦関係を良好にするコミュニケーション
それでは夫婦関係を良好にするには、どのようにコミュニケーションを取るべきなのでしょうか? 不平不満は、ぶつけてはいけないのでしょうか?
自分のルールで縛り過ぎない + 相手のルールに縛られてあげる
まず、基本中の基本です。誰にも、あらゆる生活習慣で自分流があります。仕事、食べ物、余暇の過ごし方、掃除、洗濯、スマホ、テレビなど。
意識や感覚の異なる人間が一緒に暮らせば、必ず自分流とは異なる動きをします。場合によって、自分流を全うするのに、大きな妨害となります。あるいは自分流で動いている内に、何もしない相手に不公平感が強まっていきます。
どうでも良い下らない話に聞こえるかもしれませんが、好きなカレーが食べられないことで、泣くほどに追い込まれた旦那さんがいました。彼は煮込み時間を多くして、具を煮崩したドロドロのカレーが好きなのだけれど、奥さんは具のゴロゴロしたカレーしか作ってくれない。
おそらくですが、問題はカレーだけではないのでしょう。一事が万事ですので、自分のルールは絶対に譲らず、殆ど全てを旦那さんに妥協させているのだと思われます。実状は相手側の話を聞かなければ断定できませんが、少なくとも、旦那さん側はそう認識しています。
ここで必要な考え方、基本姿勢は、譲り合いの精神です。自分のルールで過剰に相手を縛らないし、逆に相手のルールに縛られてもあげる。互いに譲り合って、どういうスタイルが二人にとって、家族にとって最適なのかを模索する。
覇権を争う意識ではなく、覇権を譲る意識でもなく、夫婦二人で新しい文化を作っていく意識がなければ、話が始まりません。
報酬は、人としての成長
これはやや哲学的かもしれませんが、自分とは違う人が、夫婦としてそこに居るという事実は、とてもエキサイティングで面白い事態です。
感覚、意識、価値観の違いは、ぶつかり合って当然です。同時に満たされない以上は、相容れないのです。
相手が友人関係なら、距離で調整ができます。合わない相手に、無理に近寄る必要はありません。
しかし、夫婦は違います。一緒に暮らしているので、乗り越えるしかありません。自分とは異なるものに焦点を当てて、価値や良さを見い出す。相容れないものが、同時に満たされる道を模索する。といった、工夫が必要となります。
結婚を成立させ続けるというミッションは、高難易度に相応しい「人としての成長」という報酬が用意されているのです。ただ残念ながら、一方的な我慢によって得られた成立には、成長に似て非なるものが用意されています。
不平不満の、正しいぶつけ方
不平不満の一切は、禁忌とされるべきなのでしょうか。いえ、今回のお話は、そのような極論ではありません。
一方的に機嫌を取らされる関係、過剰に我を通そうとする、関係が壊れるまで裁き合う、といった領域に警鐘を鳴らしているに過ぎません。
信頼関係、尊重という土台があって、その範囲内で不平不満が出てくる分には、何の問題もないのです。「自分はこの事に対して、怒っている、不満がある」ときちんと伝えるのも、大切なコミュニケーションです。
相手の立場を理解し、尊重し、場合によっては譲る気持ちの準備があるなら、関係性に甘えたワガママだって許される範囲はあるし、また尊いものです。
まとめ
不平不満で相手をコントロールすれば、被害や貸しにカウントされ、潜在的に関係性は悪化していく。互いに最後まで譲らなければ、関係が壊れるまで、責め合ってしまう。
夫婦関係を良好にするには、自分のルールで縛り過ぎない、相手のルールに縛られてあげるバランス感覚が重要。
感性、意識、価値観の違いを乗り越える高難度ミッションの報酬は、人としての成長である。
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