「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。人は思考によって、ただ見たまま、聞いたまま以上に物事を把握、推測します。思考をするから、そこにある意味、本質、可能性などを洞察します。
しかし把握や推測が不十分な段階で、思考を止めてしまう場合もあります。人を思考停止に至らしめる4つの罠、その原因を、対策と合わせてお伝えします。思考は、ある心理条件と合わさった時に、機能を停止してしまうのです。
タップ、クリックできる【目次】
思考とは、思考停止とは
思考とは何か?
まず簡単に、思考とは何か? について整理しておきます。シンプルに言えば、思考とは「関連性の整理」です。
探偵ものの作品は、小説、ドラマ、アニメなどで見たことがあると思います。鋭い洞察力を発揮する探偵が、わずかな手掛かりから、犯人を突き止めます。窓際のわずかに擦れた跡から、密室殺人トリックを見破るといったシーンですね。そこにある物、事実、現象が、何に関係するのか、どのような可能性が有り得るのか、といった洞察が、思考の役割です。名探偵は、その作業を高度な次元で行っているという訳です。
勿論、高度でなければ思考ではない、という意味ではありません。どのような簡単なものでも、関連性が整理される要素があれば、それは思考です。僕の家の犬は、「おさんぽ」という言葉に反応して、大喜びします。これも、「おさんぽ」という音と、その意味とを繋げて解釈しているので、立派な思考です。
思考停止とは
もっと思考を深めれば、そこに焦点を当てれば、より正確に関連性を把握できた。可能性の推測もできた。しかし不十分な状態で、止めてしまった。これが思考停止です。
思考停止は、事実の把握と可能性の想定を狂わせます。場合によっては、そのせいで大きな損失を被る危険性もあります。
一般的に、人を思考停止に至らしめる4つの要素があります。この罠を、解説していきます。
思考停止に至らしめる、4つの心理的な罠
心理的な罠1 権威
権威とは、この場合、強い信頼性を意味しています。権威ある人が言うなら間違いない、権威ある人が保証するなら間違いない、と、そこに正解があると解釈し、自分で考えるのを止めてしまいます。
例えば、医者、弁護士、大学教授、大会社の社長など、権威を持つ人の言葉には力があります。権威ある人の発言に出合うと、人は自分との格の差に圧倒され、無抵抗に受け入れてしまいます。
そのように権威ある人が行った発言によって、文化、常識、マナーといったものが形成されます。例えば最近、「盲腸には何も機能がないから、取っても問題ない」という発言、聞かなくなっていますよね? 僕の子供の頃、30年も前であれば医師が当たり前のように言っていました。実は盲腸には、リンパ球が多くあると判明し、「免疫に関係するのでは?」と話が違ってきているのです。このように、権威があるからと言って、発言が正しい保障はどこにもありません。
特に政治的、経済的な利害関係者は、権威を利用して影響を及ぼそうとします。意図的に嘘を吐いて、何らかの利益を得ようとする人も大勢います。
権威からの情報発信は、そこに悪意が含まれていた時、極めて有害です。鵜呑みにするのではなく、自分で考え直す習慣をつけましょう。
心理的な罠2 常識
常識とは、単に多くの人が当たり前のものとして共有しているだけの話で、それが事実である保証はありません。僕たちは、かつての常識が覆った場面に、何度も遭遇しています。
運動のトレーニングで、ウサギ跳びをしなくなりましたよね? ウサギ跳びは良いトレーニングだというのが常識だったのですが、負担の割には鍛えられないと、常識が覆っているのです。
何度その場面を見ても、常識は常識というだけで、なかなか疑いを持たれません。しかし常識はただの多数決だと知り、疑う姿勢を持ちましょう。
心理的な罠3 きれいに辻褄があう
きれいに辻褄があうと、その姿が真実以外には見えなくなります。しかし、ただ辻褄が合うだけでは、真実である証明にはなりません。あくまでも矛盾なく説明できるだけの話です。
僕は以前、小学生の頃、お金を盗んだ疑いをかけられた経験があります。また見事に僕が盗んだと考えると辻褄があってしまい、先生からもクラスメートからも完全に犯人扱いを受けました。
その時、僕は「少ない確率ではあるけれど、人生の中には何度か、こんな誤解を受ける場面はあるのだろうな。今回はその一つなのだろう」と考えていました。
漫画のカイジも、この発想で「沼」の攻略に役立てましたよね。
辻褄が合っただけの段階では、一つの可能性として浮上したに過ぎないと、正しく情報を分類しましょう。
心理的な罠4 都合が良い、先入観がある
人は信じたいものを信じます。ですから都合の悪いものは見ずに、都合の良いものだけを見ようとします。思考をしているようで、実は停止している姿です。ご都合主義的な思考です。
実は洗脳もこれを利用します。精神的に追い詰めておいて、救いの存在として宗教を出すのです。すると藁をもすがる思いの人間は、その救いの手を取ってしまいます。通常の思考能力であれば、そんなバカな話は拒絶できたのです。
近年はSNSの世界で、これが大きな問題になっています。嫌いな政治家、有名人、国などの悪評が立つと、それが瞬時にして、事実として拡散されていきます。
都合や先入観があるからこそ、「そうだ! そうだ!」と思ってしまった時、むしろ事実であるかを疑ってください。
まとめ
どんなに知性が高い人でも、思考停止に陥れば、その時は愚かになります。
4つの罠に共通して言える本質は、「事実認定をシビアにする」です。権威のある人が言っている、常識である、辻褄が合う、都合が良い、これら全て、事実である証明にはなりません。
もう一歩、先を考える習慣をつけるだけで、目の付け所が違う人間になります。
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