幸せとは何か？　幸せとは、気分の一種です。

幸せは、条件ではありません。身近にある、気分の一つです。

「～だから幸せ」と、多くの人は幸せを条件で考えます。けれども同じ条件であっても、人によって幸不幸は違います。同じ人であっても、受け止め方が変われば、やはり幸不幸は違います。

　幸せは条件ではなく、気分だからです。

条件と幸せを同一視してしまう罠

　多くの人が、幸せと条件を同じように見てしまっています。健康なら幸せ、成功すれば幸せ、夢を叶えたら幸せ、恋人ができたら幸せ、家庭を持ったら幸せ、友達や仲間に恵まれれば幸せ、など、あなたも何かをイメージしていると思います。

　勿論、これらはとてもポジティブな条件です。幸せに感じている人も、大勢います。しかしその一方で、幸せでない人も、やはり大勢います。健康でも、成功者でも、夢を叶えても、人間関係に恵まれていても、幸せを実感できるとは限りません。

　幸せと条件とは、決して同じものではないのです。

幸せは、気分の一種

　幸せが条件でないとしたら、一体、何なのでしょうか。正体は驚くほどに単純です。幸せとは、気分の一種です。

　健康も富も夢の実現も、その他の諸々は、気分を動かすトリガーです。一般的にポジティブなイメージの強い条件は、トリガーとなって、多くの人達を幸せな気分にしてきました。その経験が社会に蓄積されて、あたかも幸せそのものであるかのように錯覚されているのです。

　だから期待をし過ぎると、振り回され過ぎると、かえって幸せから遠ざかります。幸せは頭で決めるものではなく、素直な心が生み出すものです。

カルトな幸福教に注意

　社会には、幸福教というカルト宗教が蔓延しています。とは言っても、実はこの宗教は団体としては実在しません。名前がたまたま同じという意味では、複数、ありそうですが。今からお伝えするものとは、まったく別物です。

　幸福教は、見えない形で精神文化に潜んでいます。ある条件を掲げて、これを幸せと思え、これを幸せと思えなければ下劣だ、と人々に圧力をかけています。

　例えば、「自分の為を思ってくれる人がいるのだから、幸せに思わなければいけない」「五体満足で大きな病気もなく健康なら、幸せに思わなければいけない」「戦争のない平和な社会に生きているのだから、幸せに思わなければいけない」といったニュアンスの発言を、どこかで聞いた経験はないでしょうか。

　これらの意見は、一般的には絶対的に正しいです。あまりに正し過ぎて、誰も異を唱えられません。そうしようものなら、確実に顰蹙（ひんしゅく）を買ってドン引きされます。

　当然、それらの条件は、疑いようもなくポジティブです。幸せのトリガーにも、なり得ます。但し、トリガーはトリガーなので、やはり幸せと同一ではありません。そのトリガーを引いても、幸せを感じられない状況は多々あります。

　しかし幸福教は、その状況を許しません。幸せに感じられない者は程度の低い人間だと、黙って断罪します。幸せという概念が、人間性を否定する根拠にされてしまうのです。ここから自己評価を下げたり、酷くすれば自己嫌悪に陥ったりします。素晴らしい意見のはずが、むしろ人を幸せから逆行させるのです。

身近な幸せを再評価してみよう

　幸せが条件ではなく、気分だとハッキリすると、大切なものが見えてきます。条件として候補に挙がっていなかった多くのことに、心は幸せを見い出しています。

　例えば、喉が渇いた時に飲む水はどうでしょうか。一般的には、幸せの条件には入りません。しかし思い返せば、大きな幸福感があると解ります。冷え切った体で入るお風呂、猛暑の外からクーラーの利いた部屋に入った瞬間、帰宅してペットに大歓迎された時、料理の味付けが上手く決まった、道端にキレイな花が咲いていた、など、少しでも良い気分になったら、その気分こそが幸せです。

　何となく幸せを頭で条件で考えていると、それらを幸せとは評価しません。評価しないから、見過ごします。条件を満たしていないと、頭で自分を幸せではないと判定してしまいます。心が生み出した良い気分を、正当に幸せと見なせれば、それだけで今の状態、自分の人生をより幸せだと思えるようになります。

まとめ

　幸せは頭で考えるのではなく、素直な心で感じるものです。幸せとは、気分の一種です。条件で幸せを設定していると、素直な心との間にギャップが生じます。そこから人は、幸せとは何か？　を見失ってしまうのです。

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