「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。人生は理不尽なもので、世界は不条理です。長い人生、何度かは集中的に辛い時期があります。
人はどのように生きていくべきか? 重いテーマですが、ここの覚悟をどっしりと決めるから、軽やかな生き方も拓かれていきます。
人生に起こる辛い出来事
平和な文明社会では、因果応報を信仰してしまう
因果応報は、悪い意味に限定して使われがちです。けれども本来は、「良い行いをすれば良い報いがあり、悪い行いをすれば悪い報いがある」と、双方を意味しています。
平和な文明社会は、治安の良さがあり、住む人々には良識があり、力づくの横暴は許されません。正しく良いことをすれば称賛され、悪い間違ったことをすれば批判されます。文明レベルが上がるほど、社会は道理に沿って運営されます。
日本は、明らかに平和な文明社会です。普通に暮らしている分には、そうそう酷い理不尽な目にも遭いません。しかし嫌なヤツは必ずいて、報道では酷い許し難い犯罪者の存在を知らされ、怒りと憎しみが芽生えます。そんな悪人が罰せられる、何らかの不幸に見舞われると、「バチが当たった」「身から出た錆だ」と、留飲を下げます。
こうしている内に、知らないまま因果応報を信仰するに至ります。半ば無意識に、「自分はこれくらいしか悪いことをしていないから、不幸な目に遭うとしてもこれくらいだろう」と計算して高を括っています。
この世界に因果応報という法則はない
残念ながら、この世界に因果応報なる法則はありません。
もしも存在するなら、事故や病気で悲劇に見舞われる幼児は存在しません。前世の業がどうのという話は、単なる辻褄合わせに過ぎません。
合法的に悪事を働く人たちは、逮捕すらされません。そのような人たちが、特別に不幸な人生を歩むという傾向もありません。
因果応報は人の理性によって作り出すもの
この世界に因果応報の法則はありません。しかし人間の手によって、それを実現するのは可能です。
殺人や窃盗などを行った人間を逮捕して罰するのは、法律の力です。法律を作って運用しているのは、人間です。悪人は法則によってではなく、人の理性によって罰せられるのです。
また法をかいくぐる悪人に対しても、私刑は許されませんが、社会的地位の低下やバッシングという報いがあります。これも善悪を区別する人の理性が、悪人を罰している形です。
逆に良いことをした人に報うのも、人の理性によって行います。正しい取り組みをしている人や企業を応援する。頑張った子供を、ちゃんと褒める。
例を挙げれば無限に出てきますが、どれもこれも世界の法則ではなく、人の理性によって選び取っているものだと解ります。
酷い目に遭うのは何故か?
人が酷い目に遭うのは、クジで外れを引くのに似ています。悪いことをしたから報いを受けているのではなく、その時にたまたま外れを引いてしまったからです。
地下鉄サリン事件が起こった時期に、僕は千代田線で通学していました。事件の二日後に千代田線に乗り、霞が関を通過しました。もしも決行が、僕のタイミングと合ってしまっていたなら、その時に死んでいたかもしれません。
僕が被害に遭わなかったのは、正しく生きていたからではなく、外れクジを引かなかったからです。
「なぜ自分が、こんな目に遭わなければならないのか……」
こう思ったら、因果応報を信仰してしまった証です。自分はこれくらいの悪いことをしてきたから、酷い目に遭うとしてもこれくらいだろう。と、高を括って計算していたのです。
因果応報を作れるのは、人の理性だけです。そうでないものは、他の因果関係がもたらした偶然の産物です。
この信仰は、もはや何の役にも立ちません。むしろ絶望が強くなります。因果応報の信仰が役立つのは、憎い悪人をのさばらせておく苦痛を紛らわす場面のみです。
そもそも人生は理不尽なものと位置付け、覚悟しておくべきです。
不条理な世界で、どう生きるべきか?
必ずしも道理の通りにはいかない不条理な世界で、人が出来ることは2つしかありません。
ありもしない法則にすがっていては、外れクジを引く確率を増やすだけです。
当たりクジを増やして、外れクジを減らす
人は全ての未来を予測しきれません。結果を、完全にはコントロールできません。しかし常識、知識、経験から、その確率の操作はできます。クジそのものは選べなくても、どの箱から引くのかは選べるのです。
外出中、空き巣に入られる。鍵を開けっぱなしにすれば、確実にその行動は外れクジを増やします。女性が人気のない夜道を一人で歩けば、暴漢に襲われる外れクジは増えます。暴飲暴食や睡眠不足は、病気になる外れクジを増やします。
身だしなみに気を配れば、良い恋愛や結婚ができる当たりくじを増やせます。コツコツとまじめに勉強をすれば、目標を達成する当たりクジが増えます。
長い人生は、こうして何度も何度もクジを引き続けているようなものです。当たりも外れも、分母が大きければ殆ど平均化していきます。
できるだけ当たりの多い、当たった時の報酬が大きいクジの箱を選ぶようにします。そして同時に、外れた時の損害が小さい方が望ましいです。
他人の当たりクジを増やしてあげる生き方
あなたはまた、他人からすればクジの側でもあります。
例えば僕の妻は、結婚相手として小池義孝というクジを引きました。二人の子供は、父親として小池義孝というクジを引きました。僕は引かれたクジとして、一生懸命に「大きな当たり」になろうと頑張っています。
仕事でも家庭でも、その他の人間関係でも、あなたという存在が当たりか外れかは、あなたの意識に掛かっています。
良いことをしたら、評価をする、称える、褒める、正当な報酬を提供する、このような意識で生きていくなら、その分だけ社会は道理に適った環境になります。また特別に良いことをしたからではなく、普通に優しく親切にしたって誰も損はしません。
諸行無常
人の弱さは、保証を欲しがります。因果応報の信仰は、保証のない未来への不安を軽減する支えです。
ただ悪い出来事、災難は、良い人だからと避けてはくれません。諸行無常という仏教の言葉は、不条理を受け入れるしかないという決意です。
より安全に、より幸せに生きようと努力をする。自分自身は正しく生きる。それでも外れクジを(確率的に)引いてしまうのが、人生というものです。
人はただ人として懸命に賢明に生きて、何があっても自分の人生として受け入れる。こうして覚悟を決めて、一歩一歩を大切にする。これだけが、不条理な世界で生きて行く者に求められる心構えです。
まとめ
長く人生を歩んでいると、集中的に辛い時期が何度かは訪れます。理不尽が渦巻くこの世界で、そうそう楽な局面ばかりではいられません。
ただただ懸命に、賢明に、生きるのみです。
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