「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。権威とは、この場合には圧倒的な信頼性です。人の健康と医療については、医師に権威があります。法律であれば、弁護士です。そこには、一般的に認められた、圧倒的な信頼性があります。医師が言うなら、弁護士が言うなら、と疑いなく受け入れられます。
確かに権威ある人物や機関の発言は、専門性に基づいている分、正確で的を射たものである確率は高くなるでしょう。しかし決して、100%ではありません。権威を振りかざして、意図的に誘導する悪意ある人物もいます。
地頭を良くする重要なポイント6、「権威を前に、思考停止しない」
医師も散々、口にしていた「盲腸には何の機能もない」
昔、僕が子供の頃には、盲腸には何の機能もない、意味のない臓器だ、という認識が一般的でした。医師だけではなく、一般の人たちも口にしていたので、意外な事実として浸透していく段階を見ていたのでしょう。
帝王切開の次いでに、何の異常もない盲腸を切除したという話まであったのですから、今の感覚では驚きです。何の機能もないなら、取ってしまえば虫垂炎になることもない。という、何とも乱暴な理屈です。
しかし現在では、盲腸には多くの免疫細胞があると知られ、免疫機能に深い関係性があると知られてきています。
小学生の当時、僕はその見解に懐疑的でした。なぜなら機能がないとされる根拠として、機能が見つからないという説明を聞いたからです。機能が見つからない時、可能性は二つです。機能が本当にないのか、あるけれど見つからないのか、です。後者の可能性がある以上、その理由では「盲腸には何の機能もない」を、受け入れられなかったのです。
これは単純な論理の問題なので、専門知識がどうのという話ではありません。ですから医師という圧倒的な権威を前にしても、何ら気にもしませんでした。「専門知識を蓄えて自分を過信すると、こんな単純な論理的な間違いをするものなのか。自分も気を付けよう」と思ったのを覚えています。
権威を悪意的に利用する人たち
ある政治活動に熱心な精神科医がいます。仮に、Kとします。以前、Kはワイドショーのコメンテーターとしてレギュラー出演もしていました。Kは精神科医という権威を利用して、政治思想的に対立する者を貶めるのが常套手段です。精神分析を施し、劣等感を持って歪んでいる、弱者を差別して良い気分になりたい、などと、他人を矮小な人物に仕立ててしまいます。
ただあまりに露骨にやり過ぎたためか、現在では、知名度にしては影響力がないように見受けられます。
詐欺まがいのビジネスを行う人たちは、何とか自分に権威を付けようと躍起になります。扱う商品の良さがないので、良さそうに見せるのに全力を注ぐからです。
彼らはリッツカールトンホテルが妙に好きで、SNSではよく「今から、リッツカールトンホテルで打ち合わせです」みたいな投稿を、頻繁に目にしました。何ていうことはない、ただ誰でも入れる喫茶店でお茶をしながら話すだけです。そのせいで僕は、リッツカールトンの喫茶店に入ったら、大勢の詐欺師がいるのでは? という印象になってしまった程です。ホテル側からすれば、本当に迷惑な話です。
これは言うまでもなく、リッツカールトンの持つハイブランドのイメージを、自分に移そうという作戦です。まあ確かに、「今から、和民で打ち合わせです」に比べると、随分と印象が違います。
自分に権威のない人は、権威あるものに乗っかって利用をします。著名人と知り合いだ、有名企業と取引をした、などもその種類です。話の中に、やたらと権威ある人の発言を引き合いに出す人も、その威光を笠に着て自分を通そうとしています。
モンドセレクションにやられた経験
小学生の自分の事例だけだと、何だか自慢っぽくなって気が引けるので、失敗した、やられた例も出しておきます。
モンドセレクションという言葉は、皆さんもご存知でしょう。最初、「モンドセレクション金賞受賞」と聞いた時に、不覚にも凄い! と思ってしまいました。
あのモンドセレクションで金賞!? ということではなく、まったく初耳だったのですが、わざわざ大々的に誇らしげに言うのだから、きっと凄い、有名な賞なのだろうと思ってしまったのです。金賞というのも、極めて優秀なごく一部にだけ与えられる栄誉だと判断してしまいました。
それが、相手の思うつぼでした。モンドセレクションへのエントリーと受賞は、さほど高いハードルではありません。15万円ほどの費用でエントリーでき、8割以上の製品が何らかの賞を受賞します。選考は絶対評価なので、相対的に優れている必要はありません。ある程度以上の品質さえあれば、必ず受賞できるというシステムです。ある年のデータを調べたら、全エントリー中、約半数が金賞でした。
ですからモンドセレクション金賞という謳い文句であれば、「普通に品質が良いと認められた商品なんだな」が、消費者としての妥当な評価です。
これには、完全にやられました。今、こうして書いていても、恥ずかしい限りです。
地頭の良い人の考え方
地頭の良い人は、権威への過剰評価を警戒します。リッツカールトンで会議などというフレーズと映像には、まず惑わされません。誰でも自由に利用できるリッツカールトンをもって、何も保証されないと知っているからです。自分が判断できない専門家の意見であれば、他の専門家の見解も知ろうとします。
しかしその上で、印象は植え付けられるものです。それも自覚して、印象と判定とを区別する意識を持っています。
まとめ
人は、「凄い!」と圧倒された時点で、思考を奪われます。権威は、「凄い!」と「信頼」がセットになっているので、有無を言わせずに丸飲みさせる力を持っています。
権威に惑わされない肝は、「凄い!」と圧倒されずに、冷静に合理的に信頼性を判定する姿勢です。
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