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社会問題

男性が、女性を男女差別の被害者として認識できない理由とは?

投稿日:2020年8月31日 更新日:

「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。男女平等を求める女性の殆どは、女性を男女差別の被害者として主張します。しかし男性の中には、その主張を素直に受け入れない人もいます。

 このスレ違いは、どこから来るのでしょうか? 実はここを解き明かした先に、目指すべき未来への道筋があります。

 

なぜ女性は、男女差別の被害者ではないのか?

 あくまでも、「女性は男女差別の被害者である」にピンと来ない男性目線での話です。必ずしも僕の意見ではないですから、それを前提にご覧ください。

幸福度では、女性の方が高い

 過去の記事『フェミニズムが日本で盛り上がらないのは、女性の方が幸せだから。』で示したように、日本は先進国一、男女の幸福度のギャップが大きい環境にあります。実際に日本で暮らしてきて、違和感のない調査結果です。

 確かに男尊女卑があり、女性が下に見られてきた経緯はあっても、「じゃあ、被害者なのか?」と問われれば、この幸福度の観点からはズレが生じます。

 男女差別の存在は認めるものの、被害者だと主張されると、素直に認め難い理由がここにあります。 

男性は傷つき、女性は守られてきた

 男尊女卑の強い社会において、女性は下位である代わりに、保護される対象でした。

 女性が家庭内での地位の低さで理不尽な目に遭っていたとしても、男性が社会で受ける過酷な労働と理不尽に比べれば、その苦しみは軽微だと見られていました。総合的には、男性は社会の荒波に耐えて傷つき、女性はその保護下で楽をしている。……というのが、当時の共通認識でした。

 男の間で漏らされる弱音で、「女に生まれてきたら、楽だったのにな……」は、冗談でも何でもなく、男性というだけで強い圧力を受けていた証明でしょう。

女性を家庭に縛り付けたのは、差別ではない

 フェミニストの間では、「女性だからと家事を押し付けられるのは、男女差別である」という認識が一般的です。

 しかしこの棲み分けは、子供を産むという役割から来る、合理的なものでした。女性の方が身分が下だからと、家庭内の雑用を押し付けられた訳ではありません。

 近年では、家事を「夫が手伝う」と表現するだけで批判されますが、これは行き過ぎています。家事に限らず、役割分担でメインではないものについては、手伝うという意識になって当然です。

 個々で事情や思いは異なるものの、合理的な役割分担を差別と位置付けるのには無理があります。

女性は被害者だから……では、男性には響かない

 このような背景から、「女性は被害者だから」という論法では、多くの男性に響きません。女性内においても、圧倒的な多数に共感されるに至りません。

 女性は男尊女卑の被害者であると同時に、受益者でもあったからです。その一方、男性はその受益者であったと同時に、被害者でもありました。

 

 

 

 

新しい時代の男女平等

 男尊女卑の強い社会では、女性への優遇によってバランスを取っていました。男尊女卑である事を前提に、救済措置によって結果としての平等を実現していたのです。

 しかし時代が変われば、男女平等の在り方も変わります。

環境の変化によって合理性が変わる

 時代の変化によって、何が合理的なのかの回答が変わります。ここでは、その大きく変化した部分を見ていきます。

家事労働の負担軽減

 洗濯機、掃除機などの普及によって、家事労働の負担は大きく軽減されました。

 実際にこれによって、女性の社会進出が促進されました。

少子化

 現代社会では、女性が一生のうちに産む子供の人数も、明らかに減少しています。1973年に2.14人だったものが、2018年には1.42人になっています。

 妊娠期間中、育児中には働き難いですから、産む人数が減った分、働く余力が増えます。

所得の低下

 日本人サラリーマンの平均年収は、20年で、ざっと50万円ほど減少しています。また終身雇用、年功序列での賃金上昇の慣習は途絶え、多くの人が、働きながら不安を抱えています。

 この状況下において、余力の出来た女性が働き始めるのは、自然な現象です。

精神文化の束縛から解放される

 このような環境の変化があれば、何が合理的なのかも変わります。多くの女性が働き、社会的に高い地位と収入を得るようになれば、男尊女卑の価値観も存続が難しくなります。

 社会的な地位と高収入を得られる椅子の数は限られており、そこに多くの女性が座ったなら、男性が溢れるのも必然です。

 次第に、男性はこうあるべき、女性はこうあるべき、という精神文化は通用しなくなります。男性には、専業主夫、収入のメインを女性に頼る選択が解放されます。女性には、社会で高い地位と収入を得る選択が解放されます。

 現状はまだ過度期ですが、この状況が順調に進めば、男尊女卑の影はさらに薄くなっていくでしょう。

男尊女卑による受益もなくなる

 ただその過程で、女性への救済措置も撤廃されていきます。女性だからと甘く見てくれませんし、男性がお金を出してくれる機会も減ります。優秀な男性に嫁いで、社会の競争から逃れる道も狭くなります。

 ですからフェミニズムの行く先は、男性と同等の権利を獲得していく一方、女性だからと受けられていた優遇措置を放棄する、足し算と引き算です。もしかしたら、せっかく男性に比べて高かった幸福度を手放し、総合的にはマイナスの方が大きくなるかもしれません。

 より多様な個性の人物が、男女ともに、自分に合った生き方を選択できる社会。それこそが、新しい時代の男女平等が目指すものです。「女性は男女差別の被害者だから」から距離を置かなければ、その道は険しいと言わざるを得ません。

 

 

 

まとめ

 女性は男尊女卑の被害者であると同時に、受益者でもある。そこで一方的に「男女差別の被害者」だけを持ち出されても、男性はもちろん、女性の間でも広く賛同と共感は得られ難い。

 環境の変化によって、女性は働けるようになったし、働くべきにもなった。男尊女卑が薄れていくのは必然であるが、それはその受益を手放すことでもある。

 男女差別、男尊女卑から脱却し、より良い社会を目指すには、「男女差別の被害者だから」とは距離を取らなければならない。

 

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