「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。フェミニズムと言えば、昔は女性に優しい人という意味でした。現在では、女性の立場や権利を拡大して、男女平等を成し遂げようとする立場です。
ジェンダーギャップ指数を見ても、日本は121位と圧倒的な下位にありますが、なぜかフェミニズムの潮流は盛り上がりに欠けます。実はその背景には、女性の方が幸福度が高く、不満や怒りのエネルギーが不足しているという事情があるのです。
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ジェンダーギャップは大きいが、女性の幸福度は高い
世界有数のジェンダーギャップ
世界経済フォーラムが2019年に発表したジェンダーギャップ指数によると、日本は153ヵ国中、121位という結果になっています。世界でも有数の、ジェンダーギャップの大きい国と評価して、差し支えないでしょう。
この指数は、政治、経済、教育、健康の4部門から算出されます。それぞれ政治144位、経済115位、教育91位、健康40位となっています。
教育91位は十分に低い順位に思えますが、指数としては0.983と低くはありません。順位こそ低いですが、上位との差は僅差です。一方、政治は0.049、経済は0.598です。
全体像を見れば、政治と経済が大きく足を引っ張っているのが解ります。国会、地方の女性議員の比率、経済の重要なポストで女性が少なく、これは普通に日本で生活していて得られる印象とも合致していると思います。
幸福度の差では、男女差で世界一
一方、2010年の世界価値観調査によると、男性の幸福度は0.9(まあ幸せの1を、やや下回る)、女性の幸福度は1.22(余裕をもって、まあ幸せ)と、女性の方が幸福度で高くなっています。
それぞれ先進12か国中、男性8位、女性5位ですが、指数の男女差では、世界一のギャップです。つまり日本は、世界一、男性よりも女性の方が幸せな国と言えます。
重要なのは、その中身です。年齢、職業、収入、結婚の有無、学歴、生活地域などの条件において、殆ど全てで女性の幸福度が勝っています。男性が勝っているのは、高収入側の2項目のみですが、ギャップは僅差です。
特に女性が大きく勝っている項目は、主婦1.33、離婚0.91、未婚1.11です。日本は主婦率が30%と高く、この主婦層が女性全体の幸福度を大きく押し上げている構図には納得できます。
離婚ではさすがに1を下回ってやや不幸にありますが、男性の0.12と比較すれば雲泥の差です。未婚男性は0.51ですから、結婚できない男は不幸。離婚した男は不幸のどん底という訳です。
また平均寿命の男女差も、日本では6歳も女性が長生きをしています。これは世界を見てもギャップが大きく、幸福度の男女差と、濃い関連性がありそうです。
女性は、楽しむ、自分を幸せにする意識が強い
以上は、データ上での話です。加えて、実際に日本で暮してきて、肌で感じてきた部分をお伝えしていきます。
男性は繊細で、女性は図太いといった話を、子供の頃から何度も聞かされてきました。楽しく過ごす、幸せになる、という部分についても、女性の方が上手。男性は不器用で、楽しむのも、幸せになるのも下手。
これは約47年間、生活してきた感覚とも合致しています。まず女性は、楽しむ、自分を幸せにしようとする意識が強いです。例えば、「人生、楽しまなければ損」というフレーズを思い浮かべた時、女性が言っているイメージの方が、一般的にも強いのではないでしょうか。
日本の家父長制において、男性の責任は重大です。一家の大黒柱として大車輪の活躍をして、家族を支えなければなりません。男性は自らを研鑽し、懸命に働き、競争社会の荒波で生きていくものでした。
人生のハードルが高過ぎて、到底、楽しむこと、自分が幸せになることには気を回せません。男性にとって、人生の中心は戦いだったのです。
比較すれば、女性は男女差別、男性優遇の社会で低い地位にはいたものの、戦いからは免除されていました。その分、楽しむこと、幸せになることに意識を向ける余裕があります。
時代によって状況は変化していますが、この精神文化は、未だに根強く継承されています。
現代社会において、女性は絶妙のポジションにいる
現代の日本社会は、制度上での男女差別は、ほぼ完全に撤廃されています。社会的な成功を志す女性の存在も、奇異な目で見られなくなってきました。男性と同じ土俵で、平等に戦える環境が整ってきています。
また女性には、立場が弱い故の救済措置もありました。女だから下に見られる反面、女だから許される、優遇されることで、バランスを取っていたのです。
本来であれば、平等になるに従って、救済措置は減らされて当然です。しかしどうも現状では、そこにズレがあるように見受けられます。平等になっていく速度よりも、救済措置が減らされていく速度の方が、ゆったりとしています。
イメージを数値化すると、
平等 -10 → -4
優遇 +10 → +7
みたいな感じです。6ポイント平等になっているのに、優遇は3しか減っていない。そのギャップの分だけ、得をしています。
この数値については、感覚的に異論のある方も多いと思います。またフェミニストの何割かにとっては、激怒する内容でもあるでしょう。彼女達にとって女性は一方的に虐げられた存在であり、不幸な被害者でなければならないからです。
精神文化は、必ず遅れます。状況、環境が変化して、その後から精神文化はゆっくりと追いかけていく構図です。ですから男女が完全に平等になって時間が経過すれば、優遇も0か0に近いラインまで減少する理屈です。
こうした現象は、男女が二人で食事をした時に、男性が驕るべきか否かの議論に、如実に表れています。ちょっとずつ、割り勘に寄ってきていますよね。
フェミニズムは、幸福と対立してはならない
女性には、フェミニズムを進める緊急性がない
このように見て行くと、日本でフェミニズムが盛り上がらない理由も、何となく浮かび上がってきます。
男女平等が進み、以前の投票権すらない状況とは、不満の大きさが違います。また不平等の引き換えには優遇があり、むしろ少し得をしている側面もあります。
男性と同じ土俵で戦う選択も十分にできるし、戦いたくない人は、戦わない生き方も十分に選択できる。様々な能力と性格の女性が、それぞれ自分に合った生き方を選択しやすい社会です。
その結果として、幸福度で、女性が大きく勝っているのではないでしょうか。多数の人たちが大きな不満を抱えていない以上、フェミニズムが社会全体として盛り上がらないのは、仕方ありません。
離婚、未婚の男性
家父長制に影響されたメンタリティーでは、離婚は存在価値、存在理由の喪失を意味します。楽しむ、幸せになるという意識が希薄な男性は、そこで大きく幸福度を落とします。
また結婚相手として選ばれない男性の多くは、競争社会での弱者です。結婚をしないから不幸なのではなく、結婚もできないような人生だから不幸なのです。
未婚男性0.51、未婚女性1.11という数値を見れば、未婚女性は結婚しない生き方を主体的に選択して充実した人生を送れる反面、男性は代わりとなる楽しみや幸せを見つけられないでいる様子が伺えます。
多様性の中で、それぞれの幸福をつかめる社会へ
もっともこの状況は、男女ともにベストとは言えません。
能力、性格は人それぞれです。熱心なフェミニストもいるように、より完全な男女平等社会でなければ、不幸になってしまう女性もいます。いくら人間性が良くても、競争で負ける男はダメ人間。この基準で、見下され、劣等感の中にいる男性もいます。
より多くの個性が、それぞれに生きがい、楽しみ、幸福を見つけられる社会は、絶対にあります。
フェミニズムも、単に女性の立場や権利の向上だけを目指すのではなく、こうした全体の枠組みの中で考えていくと、社会にとって有益な提案ができるでしょう。
まだ発展途上にあるだけなのかもしれませんが、専業主婦という生き方、子供を生み育てる生き方に噛み付いて、女性の生き方の多様性を否定しているようでは、カルト宗教と同じです。
まとめ
日本では、ジェンダーギャップは圧倒的な下位にありますが、幸福度は女性の方が高いというねじれ現象が起こっています。
社会的に重要な役割を担うことは負担も大きく、必ずしも幸福には直結しません。それに向かない個人であれば、女性の方が生きやすい環境と言えます。
また男女差別には救済措置があり、女性は何かと優遇されて穴埋めをされてきました。男女平等になるに従って、優遇は減らされていくものです。しかし、その速度には差があり、優遇の減少の方がゆったりです。
こうした背景から、フェミニズムの潮流が盛り上がっていくエネルギーが不足しています。今後は、単に女性の立場や権利を拡大するのではなく、男女の権利を等しくすると同時に、幸福度も揃えていく枠組みが重要です。
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