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社会問題

「シリーズ キモいおじさん」は、何が問題なのか? 差別と逆差別。

投稿日:2020年5月9日 更新日:

「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。「シリーズ キモいおじさん」は、セクハラ、性犯罪などの被害者が、声を上げていこう! とする趣旨のネット番組です。

 しかしこの番組タイトルに、反発も起こりました。男性を蔑視した、逆差別ではないのか? という訳です。

 今回の記事は、「シリーズ キモいおじさん」は逆差別として、問題視されるものか否かを検証します。

 

「シリーズ キモいおじさん」は、逆差別なのか?

「シリーズ キモいおじさん」とは何か?

 仁藤夢乃さんという活動家が、ネット上で展開される番組「シリーズ キモいおじさん」をリリースしました。「学校・職場・街中など、あらゆる場面で出会うキモいおじさんのキモさや、モヤモヤを流さず、そのキモさは何なのか!? 問題を言葉にしていく番組です。」なのだそうです。

 2020年5月7日現在で、第2回までがリリースされています。今後、どうなるかは解りませんが、チャラいタイトルとは裏腹に、中身はセクハラ問題を扱った真面目な作りになっています。

 チャンネルのトップページは、こちらです。興味のある方は、ご覧になってください。

→ https://www.youtube.com/channel/UC0LyWxBBhpSYd0RrQqa7yOg

逆差別と、批判が起こる

 さて、この「シリーズ キモいおじさん」ですが、逆差別ではないか!? と、大きな反発も起こりました。

 もしもこれが、「シリーズ キモいおばさん」であったなら、フェミニストは絶対に批判したに違いない。社会活動家の立場で、こんな属性を揶揄するような番組名を付けるのは有り得ない。といった、声が上がりました。

 逆差別とは、特定の層の差別を解消するために、異なる層に不利益を被らせることを指します。この場合には、女性差別を解消するため、中年男性を逆差別している構図です。

全てのおじさんを、キモいとは言っていない

 しかし当然、この逆差別という批判に対しても、更に批判の声が上がります。

「おじさんはキモい」と言ったら差別であるが、表現は「キモいおじさん」であって、全てのおじさんではない。だから中年男性という属性を悪く言っているのではなく、それは誤解、被害妄想だ……という訳です。

 確かに、国語的な意味からすれば、この指摘は正しいように思えます。実際、番組内でも、中年男性の外見や仕草などをキモいと中傷はしておらず、セクハラなどを中心にした真面目な作りです。

 中身も確認せずに、タイトルだけで過剰反応しているという意見も、強く見受けられました。

 

 

 

 

これを番組名にする、2点の問題

 国語的には、「キモいおじさん」は、全ての中年男性を意味しない。番組内では、あくまでも、セクハラなどの問題行動を起こした中年男性に対して、気持ち悪いと言っている。

 という以上、そこには問題はないのでしょうか? 逆差別という指摘は、被害者意識が生み出した妄想に過ぎないのでしょうか?

 ここでは、「シリーズ キモいおじさん」が抱える問題を、2点、指摘します。

中年男性は、ビジュアル弱者

 中年男性、おじさんという属性を見て、どのようなビジュアルを想像しますか? カッコイイ中年男性もいますが、カッコイイ、渋い、などの形容詞が付かず、単に中年男性、おじさんというだけでは、おそらくはカッコ悪い、ダサい姿を思い浮かべるでしょう。

 これが逆に、若い女性、少女という属性になると、美しい、可愛い姿になるのではないでしょうか。

 このように、中年男性、おじさんという属性は、ビジュアルというジャンルでは弱者です。

・ハゲ
・デブ
・脂ぎっている
・臭い
・汚い

 と、散々、悪く言われてきました。臭い、汚い、はビジュアルではありませんが、この場合にはセットで捉えてください。

 中年男性は、社会的には強者にありました。特に前時代の年功序列、男尊女卑が激しい社会では、威張っていられる特権階級の様相さえありました。

 その憂さ晴らし、仕返しとして、中年男性のビジュアルへのバッシングが定着しました。中年男性側も、強者の余裕か、声を上げたらみっともないのか、属性として馬鹿にされる分には無視をしていました。

 このような状況があり、中年男性のビジュアルは、いくらバッシングして馬鹿にしても、社会問題にはならなかったのです。

 中年女性、おばさんのビジュアルへのバッシングは、なくはありませんが、男性へのような無遠慮さではありません。

「中年男性 + 気持ち悪い」の組み合わせが問題

 以前と比較すると、中年男性の相対的な地位は下がってきています。それに従って、ビジュアルを無遠慮にバッシングしても構わない対象では、次第になくなってきています。

 今、属性として中年男性を「気持ち悪い」とバッシングしたなら、おそらくは虐めに近い空気になるでしょう。

 こうした状況の中で、番組名として「キモいおじさん」を使用するのは、国語的には問題なくても、心象としては悪いです。長年、中年男性を差別してきた「気持ち悪い」に類する言葉を持ってくれば、属性を叩こうとする意志を感じ取る人も多くなります。

 もしも「シリーズ キモい女子高生」だったら、話はまるで違います。元々、気持ち悪いというイメージが付いていないため、逆張りで面白いタイトルにしたという印象になります。

 つまり、そもそも中年男性は「気持ち悪い」ものとして差別されてきた歴史があるので、「キモいおじさん」は順張りになってしまうのです。

 題材を変えると、話はより解りやすくなります。日本は今、韓国を嫌う人が増えています。この状況で「性悪な韓国人」などという番組名を付ければ、いくら酷い個人を選定しようとも、韓国人という属性をバッシングしていると思われるでしょう。

 またそのような表記を頻繁に目にするようになれば、国語的には韓国人の全てを指し示していなくても、「性悪 = 韓国人」という印象を刷り込まれます。「中年男性 + 気持ち悪い」でも、同様の現象が起こります。

 仮にほとんど全ての人が韓国人に極めて高い好感度を持っている状況であれば、同じ「性悪な韓国人」でも、「え、韓国人にも、悪い人がいるの!?」となります。

 悪いイメージのところ、順張りで悪評価と属性を並べたなら、その属性への差別やバッシングの印象になると、覚えておいてください。

フェミニズムとしての正当性を失う

 もう一点、この表現には問題があります。社会活動家として女性差別と戦っている人間が、逆差別と受け取られる行為をすれば、その評価を著しく落とします。差別と戦っていたはずの人間が、男性憎悪に突き動かされた差別主義者になってしまうのです。

 こうなれば、フェミニズムとしての正当性は失われます。以降の発言と行動には、必ずその悪評価、悪印象を持って、ジャッジされます。同じ事を言っても、同じ事をしても、社会に意図した影響を及ぼし難くなるのです。

 被害者女性が声を積極的に上げていくコンセプトは良いですし、「キモい おじさん」がキャッチーで人を惹き付けやすいのも理解できますので、逆差別と受け取られない形でのキャッチーさを考えれば良いでしょう。

 

 

 

まとめ

「シリーズ キモいおじさん」というネット番組は、国語の意味としては、中年男性という属性を悪くは言っていません。番組内容も、今のところセクハラ加害者などに限定されており、真面目です。

 しかし中年男性には、元々、気持ち悪いという方向性での差別、バッシングされてきた流れがあるため、「中年男性 + 気持ち悪い」というワードの並びでは、どうしても差別、バッシングの印象が強くなります。

 差別主義者、ダブルスタンダードの印象が付けば、フェミニズム活動そのものに支障が出ます。

 

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