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マズローの欲求5段階説を、人生の成功と幸福の観点から解説します。

投稿日:2019年5月24日 更新日:

「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。人生の成功とは何か? 幸福とは何か? こうした根本的な問いには、なかなか共通の普遍的な解答を見つけられません。最終的には自分だけの答えを見つけて、人生をカスタマイズするしかないのですが、有名なマズローの欲求5段階説は、それを考えるに大きな示唆があります。

 マズローの欲求5段階説を使って、成功と幸福の考え方をお伝えします。

 

 

マズローの欲求5段階説、成功と幸福

 人生の成功は、最終的には心にしかありません。仮に大富豪になったところで、心が殺伐として虚しさしかなければ、完全な敗北者です。お金なんかなくても、いつも充実して幸福であれば勝利者です。

 何がどのように満たされていれば、成功と呼べるのでしょうか? 人によって、その項目は違います。知っている方も多いと思いますが、ここで有名なマズローの欲求5段階説をご紹介します。この説の面白いところは、ただ欲求を分類しただけでなく、段階をつけて整理した部分です。

マズローの欲求5段階説

 
 ピラミッドの図で表現され、最下層の第一段階は生理的欲求、二段階目は安全・安心の欲求、三段階目は社会的欲求、四段階目は承認欲求、五段階目は自己実現欲求とされています。上に行けば行くほど、人として次元の高い欲求になっています。

 第一段階の生理的欲求は、肉体が生きるためのものです。食べたいとか、寝たいとか、寒いのが嫌だ、とかですね。

 二段階目の安全・安心の欲求は、危険のない安全な生活を送りたいとするものです。戦争が起こって欲しくない、治安の良い環境が良い、事故や災害に遭わない、破産しないなどです。

 三段階目の社会的欲求は、社会や他人との人間関係へのものです。社会で何かの集団に属したい、何かの役割を果たしたい、友達が欲しいなどです。

 四段階目の承認欲求は、価値ある存在として認められたいです。社会的地位、名声、注目を求める意識がこれです。またこの欲求には、自己評価も含まれます。

 五段階目の自己実現は、なり得る最高の自分を実現したいです。四段階目に含まれる自己評価の、最高到達点という見方も出来ます。

 高い次元の欲求は、下位の欲求が満たされないと関心を向けられません。飢餓状態で死に直面している時に、友達と良い関係を結ぶとか名声が欲しいとか、思いませんよね。

典型的な成功事例を、照らし合わせてみると……

 人生の成功は、この考え方で大筋は正しいです。興味深い試みですので、例を挙げて、この説と照らし合わせてみましょう。

 お金持ちになるは、どうでしょうか。日本は先進国ですから、お金持ちにならなくても第一段階はクリアされています。第二段階は、経済的な安心をもたらします。第三段階は、お金持ちだけが入れる集団などはありますが、大金を持っていなくても満たせます。第四段階は、社会的地位や名声を得るために、大いに貢献しそうです。第五段階は、まあ関係はなくはありませんが、お金以外の要素の方が重要でしょう。という感じです。必要以上のお金を否定する人は多いですが、こうしてみると、大金はなかなかに活躍する存在です。

 高学歴の獲得は、どうでしょうか。第二段階、第四段階で有益でしょうね。社会的に高いポジションは高収入とつながりますので、お金と効果は似ています。

 世界で一つだけの花のように、有りのままの自分を承認するのはどうでしょう。第四段階が満たされない苦痛が軽減しそうです。その上、上手くいけば自尊心を満たす結果になるかもしれません。自分らしさを追求する意識から、第五段階の自己実現を目指す基盤になる可能性もあります。

 ブランド品、高級車などの高額な買い物も、面白い発見が出来ますよ。第一、二、三段階は関係ありません。第五段階の自己実現とも、あまり繋がりそうにありません。残るのは、第四段階です。これらは他者から羨望の眼差しを向けられ、所持することで自身のステージが上がったかのような感覚になります。

 標準的な日本人の悩みは、第三の社会的欲求と第四の承認欲求に集中しています。先進国で物質的には満たされていますし、治安も良いので、その上が課題になるのです。第五の自己実現ですが、そんな志の高い人は殆どいません。しかしより社会が成熟すれば、そこで悩む人達が増えてくるでしょう。

 

 

 

 

第四段階、承認欲求の危険性

 現在の日本社会では、第四段階の承認欲求が歪められてしまいます。社会的ステータス、お金持ちであることへの評価が、あまりに過大です。日本だけでなく、世界全体の問題と言っても良いでしょう。

 お金持ちでセレブ生活をしているというだけで、まるで貴族様のような扱いをされます。医者や弁護士というだけで、とにかく持ち上げられます。具体的にどんな活動をしたのか、質問もせずにです。高学歴というだけでも、グレードの高い人間になります。学歴に当たる部分は、単に訓練所に過ぎないのにです。

 承認欲求の中には、自尊心も含まれています。自尊心とは、優越感ではありません。自分の人格を大切に思う気持ちです。それでは、大切に思いたい人格とは何でしょうか。正義感、優しさ、愛情、向上心、美意識などです。

 他者からの承認は、正義感や優しさなどを無視して、優越だけで獲得できてしまいます。その基準に合わせて、自己評価も高く出来ます。もしも自尊心なく承認欲求を満たそうとするなら、人間として中身のない、ただ優越に酔うだけのつまらない人間になり果てます。それだけで済めば良いのですが、多くは有害です。

 人間は社会の中で、人格を形成していきます。人格を無視して与える高評価は、人格形成上の甘やかしです。ハイブランドの大学生を、ただそれだけで凄い! 凄い! とチヤホヤする様子を多々見かけますが、酷な行為です。一種の社会的な虐待とさえ言えます。

 優越は、人格を伴って初めて承認される。何であるかではなく、何をしたのか、何をしたいのかで認められる社会。この方向性が、次に成熟していく姿でしょう。

第五段階、自己実現と幸福

 なり得る最高の自分になるのが、最終段階です。

 自己実現は、Self-Actualizationを意訳したものです。もう少し突っ込んで日本語にすると、自分の欲求や目標が現実化されるという意味です。

 健康で安全な環境にあり、良好な人間関係を持ち、他者から十分に評価をされているのが前提ですから、1~4段階に属するものは入りません。ただ前にも書いたように、4と5は被る部分もあります。簡単にイメージで表現すると、5は4のプレミアムモデルです。

 その先にあるのは、人間性、人格、社会的な目標、潜在能力の発揮、などです。

 自己実現は、他の全ての欲求を満たした先にあると考えられがちです。しかしそれは違います。生きるか死ぬかの極限状態は別として、どの段階にあっても理念として抱いておくべきものです。成功するために、幸福になるために、欲求を満たしていく。ここに自己実現の理念がなければ、虚栄心が強かったり、他者に依存したりする歪な人間性へと逸れてしまいます。

 また自己実現に、ゴールはありません。到達した先には、新たに次の目標があります。自己実現とは、常に最高の自分を更新し続けようとする志でもあります。

 ここに焦点を大きく当てて生きられる人は、それだけで幸せです。

 

 

 

まとめ

 マズローの欲求5段階説そのものは、さして難しくはありません。

 ただ自己実現だけは、ピンと来ない人も多いと思います。一度、自己評価、限界というものを取っ払って、なりたい好きな自分を思い描いてみてください。その理念こそが、あなたの自己実現です。

 

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