「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。プレゼン、セミナー、講演、集団での自己紹介や意見の発表など、大勢の人を相手にして話すのは、緊張して当たり前です。僕も緊張が限界を突破して、震えが止まらなくなった経験があります。
ではなぜ、一人を相手にしている分にはさほどでもないのに、多数を相手にすると、緊張してしまうのでしょうか? その違い、理由が判明すれば、緊張しない方法も見えてきます。
大勢の人を前にして、緊張する理由
多数を相手にすると、何が違うのか?
1対1で話している分には何でもないのに、大勢を相手に話すとなると緊張する。この違いは、どこにあるのでしょうか? このポイントさえ掴めれば、自動的に対処法も見えてきます。
誰かと話している時、人は半ば無意識に、相手の言外の情報を観察しています。表情、目の輝き、姿勢、動作などから、
・話をどれくらい理解しているのか?
・内容にどれくらいの興味があるのか?
・喜び、怒り、悲しみなど、今の感情は?
といった情報を感じ取り、合わせて調整をします。理解できていないと思えば、説明を丁寧にしていきますし、理解が十分なら先に進みます。内容に興味がなさそうなら、他の話題に移したり、興味を持たれるように工夫したりします。表現や内容で怒らせたと思ったら、怒りを解くために釈明したり、話題を逸らしたりします。
どんなに近く親しい人であっても、知識、感覚、価値観などが異なる別の人格です。人間と人間とが、言葉によって必要な情報を正確に伝達し、且つ感情的な対立やわだかまりを起こさせないのは、なかなかに厳しい高度なミッションです。増してやよく知らない相手であるなら、多大な精神的な負荷がかかります。
ただでさえ精神的な負荷がかかっているのに、その人数が増えたなら、どうでしょうか? 全員に対して同等のサーチを行おうとしたなら、一気にキャパシティを超えてしまいます。これが、大元にある緊張の背景です。
全員を相手にしてはいけない
たった一人を相手にするだけでも大変な作業を、多数を相手にするのは無理です。しかし大勢を前にして話す経験が浅いと、無意識にそれをやろうとしてしまいます。入ってくる莫大な情報に、意識を向ける先の多さに処理が追い付かず、圧倒されます。
ですから話し手も、状況に合わせて意識を変える必要があります。主な方向性は、以下の二通りです。
・入ってくる(気にする)情報量を減らす
・意識を向ける先を減らす
多人数を相手にする緊張を和らげる本筋は、負荷を減らすことだと心得てください。
大勢の人を前にしても、潰されない方法
一人だけ作戦
多くの人を一気に相手にするのが無理なら、その数を減らせば良い。極端に一人だけに絞るのであれば、慣れ親しんだ普通の会話です。他の大勢は、ただ近くにいて、話を聞いているだけです。解ろうと解るまいと、どんな感情になろうと、知ったことではありません。気にしてはいけません。
では、その一人を誰にすれば良いのでしょうか? 会社のプレゼンであるなら、決定権を持った、もっとも偉い人です。そうした優先順位がなければ、下記の何れかを選んでください。
・肯定的で、リアクションの大きな人
・もっとも理解力の低い人
肯定的でリアクションの大きな人とは、前のめりの姿勢で興味津々な様子で、首を縦に頷きながら、聞いているようなタイプです。
一人でもこのような人物がいると、話し手のやりやすさは各段に違います。1対1の会話でも、こういった相手とは、コミュニケーションを取りやすいですよね。こちらは話し手にとって、もっとも負荷のかからない楽な相手です。
もっとも理解力の低い人は、表情やリアクションで探します。よく理解している人は、眼光がしっかりとして、一つ一つの話が腑に落ちている様子が伝わってきます。逆に理解できていない人は、ポカンとして表情にしまりがなくなります。
標的を一人に絞ったなら、その人が理解できるように意識をします。理解していないと感じたら、他の表現にしてみる、例え話を使ってみる、と工夫をします。そこは1対1での会話と、同じ要領です。この人が理解できたなら、他の全員が理解している理屈です。
全体の空気を相手にする
こちらは、出来る人が限られると思います。参考までに、ご覧ください。
人の精神状態、感情などは、場の空気感を変えます。多数の一人一人に意識を向けられませんが、集合された空気感であれば、話は別です。
楽しい! 難しくて解らない……、興味津々、飽きてきた、など空気感は多くの情報を伝えてくれます。これに合わせて、話の内容を調整します。
ネガティブな態度の人に潰される
話し手は、多くの人が臆病です。聞き手の中にネガティブな態度の人がいると、どうしても気になって、話に集中できなくなります。僕も、そうです。
ネガティブな態度とは、腕や足を組む、しかめっ面、首を振る、首をかしげる、といったものです。話し手としては、退屈なのかな? 納得できないのかな? 否定しているのかな? と、気になります。酷くすれば、しどろもどろになり、その一人に潰されます。
しかしネガティブな態度とは言っても、何にどうネガティブなのかまでは、話し手には解りません。講演を終えた後に、ネガティブな態度だった人がやって来て、素晴らしかった! と大絶賛してきたという例もあります。
しかめっ面で首をかしげて、感じ悪いなと思っていたら、実は話の内容を飲み込んで、真剣に考えていただけだったのです。うちの部署でこの理論を使うには、どうすれば良いか? う~ん、田中のモチベーションの低さがネックになるな…… といった思考を巡らせていたなら、そんな態度にもなります。
いくらネガティブな態度であっても、頭の中までは解りません。自分が否定されているとは限らないのだから、気にし過ぎてはいけません。僕はそういう時には、肯定的でリアクションの大きな人を心の支えにして、乗り切ります。
まとめ
人は言外の情報をキャッチしながら、話をしています。これには大きな負荷がかかり、大勢の人数を相手には無理です。しかし慣れていないと、1対1と同じ感覚で多数を相手にしようとします。キャパシティを超えて圧倒され、緊張に至ります。
これを防ぐには、一人だけ作戦が有効です。負荷を減らして、キャパシティ内に収めれば良いのです。
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