「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。議論に勝って、他人や社会をコントロールしようとする人。他人を言い負かして、悦に入る人。何れにしても、敗者になるのは御免です。
シリーズ『議論に負けない方法』では、そんな彼らの卑怯な手口を検証します。今回のテーマは、「卑怯な手口2、情報の海に溺れさせる」です。
タップ、クリックできる【目次】
議論に勝つ卑怯な手口
議論の本来の意味は、情報と視点の共有です。物事を判断するには、情報が不可欠です。重要な情報に欠ければ、判断を誤ります。また同じ情報であっても、見方によって姿や意味が変わります。
情報と視点の盲点を補い合い、より完全な姿に近づけていく。それこそが、議論に求められる本来の役割です。
但し、議論は悪用もされます。利害関係にある者が、利益誘導のために。特定の思想を持った活動家が、社会を動かすために。マウンティングし、優越感を満たすために。
議論で言い負かされない、マウンティングを許さないためには、彼らの用いる卑怯な手口を、知っておかなければなりません。
卑怯な手口2、情報の海に溺れさせる
思考の処理能力には、それぞれ限界があります。この手口は、相手の処理能力を超える負荷をかけ、結論のミスリードを誘導します。
そうと意識しなければ目立たない手口ですが、注視すれば、常套手段の一つになっていると解ります。
また意図せず、結果としてその形になっているケースも多いようです。
この作戦を多用していた知人
僕がこの手口に気付いたのは、その知人が多用していたためです。10代の頃、僕はあるサークル活動にゆるく参加していました。サークルとしての重要な事項は、全て話し合いで決められていました。知人はリーダーでしたが、リーダーであっても、独断では決められないシステムです。
ですから自分の意見を通そうと思えば、会議でそれを多数に認めさせる必要があります。普通に主張しては否決されそうな意見も、知人は『情報の海で溺れさせる』を用いて、度々、強引に通していたのです。
物事には、複数の側面があります。それによって得られる物、失う物。善悪を軸とした価値。美学を軸とした価値。などが、場合によっては複雑に絡み合い、決定を難しくさせます。
リーダーは、自分の都合を通したい。しかしその都合をアピールしても、他のメンバーには関係ないので、「それはお前のワガママだ」で却下されてしまう。だからその都合を隠し、他の正当性を取って付けます。
ここで、『情報の海で溺れさせる』の出番です。考えられる、ありとあらゆる利益や価値を矢継ぎ早に話して、本質的な欠陥を覆い隠します。思考の処理能力をクラッシュさせて、強引に意見を通します。
僕も最初のうちは放っておきましたが、あまりの多用で目に余りました。仲間に対してやる手口ではないと考え、会議でその邪魔をしては、苦虫を噛み潰したように睨まれていた記憶があります。
話を無制限に広げて、負けを認めない人
これは殆どのケースで、おそらく『情報の海で溺れさせる』を意図していません。言い合い、議論に負けるのが嫌で、結果として、この形になっています。
一つのテーマで言い負けそうになると、その負けを認めず、他の話に移ります。それを勝てるまで、勝ったような空気になるまで、相手が根負けするまで、無制限に繰り返すのです。
僕もよく、この手合いに遭遇しました。今の話に決着がついていないのに、他の話をし始める。付き合っている内に、一体、何の話をしているのか意味不明な状態に陥りますよね。
『情報の海に溺れさせる』に対する、打開策
自分が泳げる範囲から、決して出ない
打開策の基本方針は、至ってシンプルです。要は、溺れなければ良いという話です。
思考の処理能力には、個人差があります。仕掛けてくる人間を上回る器があるなら、問題は生じません。どっしりと構えて全てを受け止めた上で、適切に対処できます。立ち合いを胸で受けて楽々と勝つ、横綱相撲です。ただ相手の攻めを受け続ける、面倒くささはあります。
もしも処理能力を超えて、ちょっとでも解らない、モヤッとした感覚があったなら、その時点で相手の話を止めましょう。一つ一つ、丁寧に理解の階段を上がっていくのです。自分が余裕で泳げる範囲から、絶対に出ないでください。
またこの手口を使ってくる輩は、結論を後に回してくる傾向があります。溺れる前に無茶な結論を持ち出しても、拒絶されると知っているからです。ですから話を遮り、結論部分の提示を求めましょう。
一つ一つ、話に決着をつける
負けるのが嫌で、次から次へと話を広げてくる手合いには、『付き合わない』の一手です。要は、都合が悪くて話を逸らそうとしているだけなので、付き合う必要性はまったくありません。
僕はよく、相手が話を移そうとするのを断ります。真正面から、「話の決着がつかないまま他の話に移ると、収拾がつかなくなります。まずは今の話の結論を確定させてから、その話をしましょう」と告げます。
すると大抵は、打つ手なしと諦めて、何一つ決着をつけずに打ち切られます。時と場合に拠るでしょうが、平和のためには、追い討ちをかけずに逃がしてあげた方が良いです。
まとめ
思考の処理能力には、個人差があり、それぞれの限界があります。物量作戦で思考能力をクラッシュさせ、都合の良い結論を飲み込ませようとする人達がいます。
あるいは言い合い、議論に負けたくなくて、結果的にそうなってしまう人達もいます。
対策としては、一つ一つ、丁寧に理解の階段を上がっていく。一つ一つの話に、きちんと決着をつける。となります。何れにせよ、勝手に進ませないことです。
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