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ピグマリオン効果を、子育てに利用するリスク、デメリットとは?

投稿日:2020年2月7日 更新日:

「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。期待された人間は、その期待に応えようとして成長する。これをピグマリオン効果と言います。しかしこの理論を聞きかじって、「期待すれば伸びる」と安易に子育てに利用するのは、お勧めできません。

 期待に潰される、中身の伴わないナルシストになるといった、ピグマリオン効果を子育てに利用するリスク、そのデメリットを知ってください。期待と評価には、適切なやり方があるのです。

 

ピグマリオン効果は、賛否両論

ピグマリオン効果とは、何か?

 ピグマリオン効果は、評価されて期待された人物は、高いパフォーマンスを発揮するという法則です。子育てや、職場の人材育成において、よく言われています。

 辞書でピグマリオン効果を引くと、下記のような説明になります。

『他人から期待されることによって学習・作業などの成果が上がる現象。米国の心理学者ローゼンタールが、教師からの期待の有無が生徒の学習成績を左右するという実験結果をもとに報告。名称はギリシャ神話のピグマリオンにちなむ。ローゼンタール効果。教師期待効果。』(デジタル大辞泉)

 一見、なるほどと、もっともらしく見えますが、ピグマリオン効果を否定する見解もあります。再実験で必ずしも同様の結果が得られるわけではなく、期待と成果の向上とは、明確な因果関係が見られないというのです。

実験結果は、依怙贔屓によるもの

 ローゼンタールが行った実験では、教師に対して、ランダムで選ばれた「今後、知能の向上が期待できる生徒リスト」が配布されました。実はこの実験は、先入観、偏見、バイアスが教師の行動に対して、どのように影響するかを見るものでもあったのです。

 すると教師は、期待できる生徒に対して、より質の良い多くの学習機会を与えるようになり、結果として該当する生徒の知能が向上したという訳です。

 一般的に思われているような、「期待された生徒がその期待に応えようと、自主的に頑張るから」とは、因果関係が異なります。

期待すれば、子供は伸びるのか?

 それでは果たして、親が我が子に期待を寄せれば、ピグマリオン効果が発揮されるのでしょうか? 確かに子供の心理として、その可能性はあります。親を喜ばせよう、親から評価されたい、親を落胆させたくない、といった気持ちがモチベーションになって頑張る姿は、一般的なものです。

 ただその一方、期待が重荷になって、逆効果になるケースも珍しくありません。頑張ることを放棄して、プレッシャーから逃れる方を選択するのです。あるいは過度の期待と根拠のない高評価のシャワーを浴びせ続けた結果、中身の伴わないナルシストに堕する人物もいます。

 期待すれば、漏れなくピグマリオン効果が働いて、子供が伸びていく! という単純な話ではありません。期待が裏目に出るリスク、そのデメリットに対しても、注意を向ける必要があります。

根拠のない他者からの評価は、自己評価には反映されない

 仮にあなたが、学生のスポーツチームの一員だとして、チーム内では今一つの存在だったとします。自分よりも上手い人、強い人はチーム内に、いくらでもいます。全国レベルで見れば、あなたの所属しているチームだって、強豪という程ではありません。

 あなたのプレーを見た素人の第三者が、「凄い! きっとプロにだってなれる!」と絶賛したなら、どう思うでしょうか? それを真に受けなどせず、よく解らない素人の戯言としか思えないでしょう。自分は平凡な選手の一人であって、プロなど別世界の話です。

 いくら認められても、称賛されても、根拠のない他者からの評価は、自己評価には反映されないのです。

 しかし相手が、世界の1流プレーヤーで、何かしらの根拠があったらどうでしょうか。「技術レベルはまだまだだが、空間認識能力が凄い。これを活かすプレースタイルを目指したなら、プロで通用するプレーヤーになる素質がある」と、具体的に言われたなら、まったく話が違います。自分は、プロを目指せるポテンシャルを秘めた存在であると、自己評価が更新されてもおかしくありません。

 信頼できる人物から、根拠をもって評価されたからです。

 親は我が子に、根拠の希薄な承認と称賛を、考えなしに連発します。理由や根拠など理解できない小さな段階では、そうやって単純に励ましていれば良かった。普通の成長段階で通る道は、早い遅いの違いはあっても、必ずクリアできた。しかしある程度まで成長すると、相対的な優劣、適性の問題が絡んできます。勉強だってスポーツだって、誰もが同じではありません。頑張った先であっても、差がつきます。

 こうした段階で、小さな時代で通用した雑な承認と称賛は、心に響かなくなります。頑張れば1番になれる! と言われても、同じクラスの秀才には、努力で埋められない差があるのを知っています。無理な期待をされても、無理だと判り切っているので、モチベーションを上げられません。

 ただこれが、自分の現実に沿った、適切な承認と称賛だったらどうでしょう。「お前は、基礎さえしっかりとやれば、絶対に落ちこぼれない。そこそこ良い学校にだって行ける。夏休みに基礎の集中講座に真面目に取り組んだら、成績が上がったろう?」 もしも直近のテストが悪くて自信を落としていても、こうした現実に沿った、具体的な根拠をもった励ましであるなら、心に響きます。落としていた自己評価を持ち直して、再び、頑張ろうという気にもなるでしょう。

 

 

 

ピグマリオン効果の、正しい使い方

ピグマリオン効果改め、依怙贔屓効果

 親が我が子にできるのは、依怙贔屓です。大切な我が子を特別視して、依怙贔屓するのは当たり前です。

 勉強でも、スポーツでも、習い事でも、子供がやる事を、親は全力でサポートできます。より質の良い環境と機会を与えることで、子供は成長します。

 ただ雑に褒めて認めるのではなく、現実にある今の姿を承認します。その上で、頑張れば手が届く、次の目標に向かいます。心が折れるような非現実的な目標ではないので、過度なプレッシャーにはなりません。地に足をつけて一歩一歩と前に進むなら、中身の伴わないナルシストにもなり得ません。

 あれは雑な承認によって、半ば洗脳されている歪んだ姿です。まだ大成していない段階で、それをあたかも手に入れたかのように称賛するから、勘違いをします。実態のない称賛など毒にしかならず、妄想じみた贔屓目は厳禁です。

 親として当たり前に、ちゃんと子供を依怙贔屓する。ピグマリオン効果は、依怙贔屓効果の一部として発動します。現実に手が届く期待であれば、その期待に応えよう、喜ばせようとするのは自然な感情です。

 

 

 

まとめ

 期待をかければ、それに応えようとして伸びる。子供の成長に、そんな雑な法則は当て嵌まりません。悪くすれば、プレッシャーに潰される、中身の伴わないナルシストに堕してしまいます。

 ピグマリオン効果を立証した実験結果は、むしろ教え導く立場の意識によって、成長の仕方や伸び方が変わると示しています。言わば、依怙贔屓効果です。

 親は我が子に対して、雑に期待をかけてはいけません。子供の現状と可能性を適切に把握して、伸びしろに沿って成長できるよう、依怙贔屓をするのです。依怙贔屓効果の中に、ピグマリオン効果も発揮され得ます。

 

 

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