「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。ザイオンス効果は、人の見る目が、如何にいい加減かを示すものです。判断に足る情報もなく、接触回数と頻度によって、信頼と好意を寄せてしまうのですから。
この法則を意識的に利用して、ビジネスや恋愛に活かそうとする人たちがいます。心理法則を利用したマニュアルとしては、超メジャーな存在です。ザイオンス効果は、悪意ある者たちが使えば危険です。
今回の記事は、ザイオンス効果を悪意的に利用されない、被害に遭わないために、そのメカニズムと対処法をお伝えします。
※この女性の写真を、ネガティブな印象の題材で利用するのは、心苦しいです。申し訳ないです。この女性は、とても良い人なのだと思います。
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ザイオンス効果は、洗脳と同じ
ザイオンス効果とは何か?
ザイオンス効果とは、同じ人や物に接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持つようになる効果のことです。1968年に、アメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが広めました。日本語では「単純接触効果」と呼ばれています。(erret-plus.com › Webマーケティング用語辞典より)
この法則を利用して、人から好かれる、信用されるノウハウとして知られています。主に恋愛、ビジネスのジャンルで言及されています。
但し、接触すれば、誰でも何でも好印象になるわけではありません。そもそも外見、雰囲気、態度などで悪印象があるなら、接触回数が増えたところで好きにはなりません。むしろ嫌悪感の方が積み重なって、逆効果になるのが普通です。
ザイオンス効果を発揮するには、最低でも、印象としてニュートラルである必要があります。勿論、好印象である方が望ましいです。
接触する度、人の心で起こっていること
ザイオンス効果は、実際にあるのでしょうか? 僕個人の経験上で言えば、確実に存在します。またこの効果自体を否定する意見も、特には見かけません。接触回数の多い相手には安心感がありますし、好感も持ちやすいです。
人は人に対峙する時、まったくの無警戒ではいません。治安が良くて平和な社会であれば、さすがに犯罪者レベルで強く疑いはしないでしょうが、半ば無意識に相応の警戒はしています。警戒という言葉でピンと来なければ、緊張に置き換えてみてください。
一度、接触して悪い印象でなければ、「無害だった」、「嫌な思いはしなかった」というデータが残されます。気持ちの良い挨拶やちょっとした雑談、好ましい外見などで好印象なら、「良い人だった」、「爽やかな人だった」といったポジティブなデータも加えられます。この時点で、好感が生まれます。
すると二度目の接触では、前回の様子を想定します。そこで同様の結果になれば、次はより濃く同じ想定をします。これを繰り返すうちに、やがて想定は信頼に近づいていきます。ポジティブな人間性を信頼したなら、そのような人物への好感が強くなるのも道理です。
強い印象は事実と同じ
しかし実際、接触回数を重ねただけでは、人間性について大した情報は得られません。情報量は増えていきますが、その中身は薄っぺらです。これは冷静に考えれば、誰でも解ることです。
ただそこには、仕方のない部分もあります。無害に接触回数を続けるだけの人に、注意は向けられません。あえて冷静に考えてみようと思う機会もなく、薄い情報が蓄積されていきます。印象がある一定以上の強さになると、その人の中では、事実に近い位置づけとなります。疑われることなく、静かに認識に浸透するのです。
中には、雰囲気や話しぶりなどの少ない情報で、自分はその人の本質を見抜けると思っている人たちもいます。より少ない接触で確信してくる、このような層は、ザイオンス効果を利用する側からすれば、特にちょろい相手です。
ザイオンス効果は、洗脳と同じ原理
洗脳と言うと、カルト宗教、ブラック企業、DV家庭、ネットワークビジネス、自己啓発セミナー、などを連想すると思います。僕も過去には、カルト宗教から洗脳プログラムを受けた経験もあり、その手口については、通り一遍の知識の他、生々しい記憶があります。
間違ったもの、事実という確証のないものを、事実と信じ込ませるのを洗脳と言います。洗脳は、その人の合理性との戦いです。洗脳する側から見れば、合理性を失わせるか否かが、成功の鍵です。合理的な思考の前では、間違ったものは間違ったものに過ぎず、確証のないものは確証のないものに過ぎないからです。
合理的な思考力を奪うには、いくつか方法があります。感情に揺さぶりをかける、暴力や暴力性に屈服させる、ドラッグ、絶食、眠らせない、などです。そうやって正常な判断力を奪っておいて、都合の良い何かを隙間に入れ込むのです。
ここでザイオンス効果と、どんな関連性が? と不思議に思われた方も多いでしょう。実は両者の間には、「合理的な思考のフィルターを通さない」という共通性があるのです。そのプロセスに、上述したような洗脳手法で思考力を奪う段階があるのか、そもそも思考をせずに無防備でいるのか、の違いです。
ボクシングで、無理矢理ガードを下げさせられるのが洗脳。最初から無警戒にノーガードでいるのが、ザイオンス効果です。
ザイオンス効果に、騙されない
意図的にザイオンス効果を利用する人たち
だからと言って、ザイオンス効果を狙う人たちの裏に、必ず悪意が潜んでいる訳ではありません。営業マンが、大した用事もないのに、ちょろっと寄ってすぐに帰るのは、ザイオンス効果を意図しているかもしれません。言い寄ってくる前に、ちょっとした接触が多くあったのは、恋愛マニュアルでザイオンス効果を知ったからかもしれません。
営業マンが売ろうとしている物が粗悪品であったり、詐欺であるなら、言い寄ってくる相手が遊び目的であったなら、そこには悪意があります。しかし真面目な会社の営業マンも、真剣に付き合いたい人も、成功するためのノウハウがあるなら、利用したいのは同じです。
だからザイオンス効果の意図を感じ取ったとしても、それだけで必要以上に警戒することはありません。意識するのは、リスクのあるケースが訪れた時だけで足ります。
ザイオンス効果によって信頼している営業マンであっても、その商品やサービスを無暗に信じず、サンプルを取る、小ロットで試す、評判を確かめる、など慎重になるべきです。恋愛であれば、どういう人なのかを知るのに、もう少し慎重になれます。
ザイオンス効果は、完全には避けられません。感覚を含めて完全に合理的な人間などいませんから、合理性から外れた信頼、好感は持って当たり前です。ただそれを盲信すると、悪意ある者が仕掛けた時に、ちょろく騙される側になります。いざリスクのある決断を迫られたなら、心象は外れるものだと自覚し、改めて通常の疑念を持ち直せば良いのです。
そうすれば少なくとも、あまり深く話したことのない近所の感じの良い人に騙される。みたいな目には遭いません。
まとめ
人は何となく受け取った情報には、疑いのフィルターを通しません。一回一回は薄くても、繰り返されれば、やがてその印象は事実と同じ扱いになります。それが、ザイオンス効果です。
意図的に、悪意をもってザイオンス効果を利用された時、その知識がなければ、ノーガードのところで被害に遭います。薄い情報を積み重ねたに過ぎないなら、本来は信頼に値する材料はありません。
物を買う、お金を貸す、交際するなど、リスクのある、重大な決断をする際には、改めて疑念のフィルターを通しましょう。
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