「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。女優の沢尻エリカが、覚醒剤の所持と使用の容疑で逮捕されました。これを受けて、一部の界隈では陰謀論が華やいでいます。
今回の記事では、陰謀論に傾倒する人達の心理について、解説します。陰謀論を盲信する傾向のある方は、特に必見の記事です。
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沢尻エリカ、覚醒剤報道に見る「陰謀論」に傾倒する人達の心理とは?
陰謀論とは何か?
まずは陰謀論について、簡単に整理しておきます。陰謀論とは、何かの出来事や現象の裏に、何らかの陰謀があるとする説です。これが事実と証明されたなら、あるいは情報の裏付けが取れて事実である可能性が高いなら、陰謀論とは表現しません。陰謀論と称されるからには、一定以上の荒唐無稽さが必要です。
例えば、「第二次世界大戦は、軍事産業で大儲けしようとしたロスチャイルド家が、意図的に仕組んだものだ」といったものです。
沢尻エリカの逮捕は、安倍政権が仕組んだものだ
この事件が起こる直前には、安倍政権に対して「さくらを見る会」への批判がありました。税金を使って多くの人を接待するこのイベントは、票の買収行為のようなもので、公職選挙法違反に当たるという指摘です。
当然、安倍政権、自民党にとってはネガティブな状況です。国民からダーティーなイメージがつけば、内閣支持率、政党支持率、次の選挙の得票数に悪影響を及ぼしかねません。そこで安倍政権は、国民から関心を逸らすために、今回の逮捕劇を仕組んだという訳です。
安倍政権によって支配されている警察組織は、芸能人、その他の有名人の「いつでも逮捕できるリスト」を持っていて、このような時に使われる。と、主張されています。
名前と顔は伏せますが、誰もが知る有名な知性派タレントのRさんも、このようにツイートしています。
この指摘に、証拠はありません。また有力と評価できる根拠もありません。ですから間違いなく、現段階では陰謀論の域を出ません。
安倍政権と陰謀論の歴史
今回のことだけでなく、このような安倍政権にまつわる陰謀論は、数多く出されています。ざっと、目立って印象深かったものを挙げます。
・北朝鮮のミサイル実験
・元TOKIO、山口氏のスキャンダル
・元プロ野球選手の清原和博氏の、覚醒剤での逮捕
・ASKAの、覚醒剤での逮捕
・台風
などでも、安倍総理の陰謀が盛んに主張されていました。スキャンダルや逮捕であれば、ネタをカードとして持っていて云々という話ですが、北朝鮮のミサイルと台風は、何のこっちゃ? と思われた方も多いと思います。
北朝鮮が頻繁にミサイル実験を繰り返していた時期は、モリカケ問題がメディアを賑わせていたタイミングと重なります。安倍が北朝鮮に指示を出して、ミサイルを発射させたというのです。
台風に至っては、自然現象です。これが一体、どう陰謀に繋がっていくのでしょうか。ずばり安倍政権は、人工台風を作り出す技術を持っているというのです。これを使って選挙の投票日にぶつけて、投票率を下げたという主張です。また消費税増税を正当化するために、巨大台風を起こして意図的に死者まで出す災害を起こした。とまで、言われていました。
これらがネタではなく、ネット上でコミュニティを形成し、真剣に語られているのです。
陰謀論に傾倒する人達に働く、確証バイアス
安倍政権へのバッシングについて言うなら、そこには都合があります。安倍総理を憎悪するあまり、理性を失っています。何でも良いから、とにかく安倍の評判を落としたい、政権から引きずり降ろしたいという心理です。
すると安倍総理の評判を落とすものは、都合に合致します。証拠はなくても、根拠に薄くても、真実であって欲しいと願います。その思いは確証バイアスになり、あっと言う間に疑惑でしかないものを、真実の地位まで押し上げます。冷静さを欠けば欠くほど、荒唐無稽な説にも飛びつきます。
確証バイアスとは、「仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと」を指します。要するに、説に都合の良い情報だけを集めて納得し、そうでない情報は見ないようにする姿勢です。
北朝鮮がミサイルを撃つ度に、陰謀論者は「またも、このタイミングで発射された。ここまでタイミングが合うと、偶然とは考えられない」と繰り返していました。しかしその当時は、モリカケ問題は長々と騒がれていましたので、どのタイミングで撃とうとも、そういうタイミングです。
有名進学校を卒業した知性派タレントのRさんでさえも、強い願望から来る確証バイアスの前には、こうも翻弄されてしまいます。北朝鮮のミサイル実験当時の発言は知りませんが、そっち寄りの姿勢だったのでは? と思われます。
エンタメ性と自己承認欲求
陰謀論だからといって、すなわち嘘ではありません。極めて低いミジンコほどの確率ではありますが、安倍総理と金正恩国家主席とが裏で繋がっていて、「モリカケ問題で困っちゃってさあ、今週末あたり、打てる?」なんていう、やり取りがない証拠もありません。
僕もよく、「東京オリンピックの経費がバカ高いのは、利益誘導の政治で、資金が誰かの懐に入っているからじゃないの?」と言っています。同じように証拠はありませんが、これを陰謀論と言う人はいません。
やはりそう称されるには、馬鹿らしいと思ってしまうほどの荒唐無稽さが必要です。そこで、人間の心理です。荒唐無稽な話って、面白いですよね。驚くべき意外な真相! という体でテレビ番組が流れていたなら、つい見入ってしまいます。
陰謀論には、人を惹き付けるエンタメ性があるのです。だから他人にも話したくなるし、話せば食いつくしで、広まりやすいという構図です。
加えて、観察していると、陰謀論を信じている人達は、知性の自己評価が高いように感じられます。「大多数の人達が知らないこの真実に気付いている、知っている自分は凄い!」という意識です。
このような自己承認欲求が絡んでくると、自分が少数派であるのは、むしろプラスに働きます。
陰謀論に傾倒しないためには?
簡単です。「願望と、事実とを分ける」です。
安倍総理をいかに憎悪しても、世の中の裏を知っているカッコイイ自分に憧れても、そういった感情上の都合がある時ほど、確証バイアスを警戒してください。
個人的には、カジノでルーレットをやった人であれば、ちょっとした偶然で起こる偏りを前にしても、冷静さを保てるのではないか? と思っています。0、00を除けば、赤か黒かの確率は2分の1です。勝つまで掛け金を増やし続けて片側だけに掛ける、有名な手法があります。
10回以内に勝てばプラス、11回目で破綻という資金管理で行ったとしますね。11回連続で片側だけが出続ける確率は、2048分の1です。こんなの、もうほぼ必勝法だと思うじゃないですか。でも調子にのってやっていると、その内に負けるんですよ。10回程度の連続なら、さほど珍しくはありません。
こういう確率の偏りは、現実には、わりと起こるのだと知っておいてください。ちょっとタレントの逮捕が重なったくらいで、決めつけなくなりますから。
まとめ
陰謀論に至るには、都合、エンタメ性、自己承認欲求がある。確証バイアスが入ると、決めつけるには馬鹿げたものも真実に見えてしまう。
感情的な都合がある時こそ、厳しく、願望と事実とを分けましょう。
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