「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。人の心は、違い、変化に反応します。状態、状況は同じであっても、それ以前がどうであったかによって、まったく違う反応をします。
その落差を使いこなせば、驚くほどに、気分をコントロールできるようになります。
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落差を使いこなして、気分を上げる、セルフコントロールする
人は「落差」に反応する
人の気分は、基準に対して上か下かという、落差に反応します。ですから同じ状況であっても、基準によって評価が変わります。
例えば貯金が0であったとします。裕福な家庭が投資か何かに失敗して財産を失ってしまった0と、多額の借金を返済し終わってマイナスから0になったのとでは、まったく気分が違ってくるのは理解しやすいと思います。0という状況は同じでも、まさに天国と地獄です。
ある夫婦の話です。
奥様が健康を損ねてしまい、かなり元気がない様子です。旦那さんはそれを大層、心配されていました。普段は強気の妻なのです。それが次第に元気になってきて、旦那さんは喜びました。嬉しそうに、
「この間、久しぶりに悪態をついていました」
と報告していました。でも数か月後には、
「好き放題、言いやがって……」
と、不満を漏らしていました。
状況は同じであっても、それ以前の状況との兼ね合いで、心にとっての意味は大違いになります。
これは僕にも、とても近い覚えがあります。妻は天真爛漫なタイプで、嫌なことは嫌とストレートに言います。そんな妻の具合が悪くなって、元気なく静かにしているのを、僕は心配していました。
数日経って回復して、初めて文句を口にした時、僕は「やった! 元気になって文句を言い始めた!」と大喜びしたものです。しかしそんな日々が続くと、元のように「うるさいな~」と感じるようになりましたが……。
実は、幸せはそこにある
では落差がなければ、人には幸福も不幸もないのでしょうか? そんなことはありません。例えば先ほどの元気になった奥さんの例では、元気にそこに生きている、それ自体が幸せなのです。
何事も当たり前になると、心の反応が鈍くなります。しかし心の反応が鈍いからといって、そこに幸せがない訳ではありません。
人は欲張りなもので、常により良い状態を求めます。ですからそこにあり続けるものは、あっという間に当たり前のものとして基準になります。その基準よりも上の状態でなければ、満足をしなくなります。また基準よりも下回れば、その時の心理的な抵抗は凄まじいものがあります。
けれどもその落差とは別に、心の中では、そこにある当たり前のものをちゃんと喜んでいる動きがあります。
心をフラットにしてそれを感じ取るようにすると、大抵の人は、実に幸福に溢れた生活をしているのです。
ゼロベースで考える
何もない状態を想定してください。
健康な身体はない。
家族はいない。
友達はいない。
財産はゼロ。
…………
そこから今ある物が足されていった時に、自分はずいぶんと多くの物を持っているのだと実感させられます。多くの幸福があったのだと、自然と実感できるはずです。
心にとって、現実か虚構か、リアルかフィクションか、は明確な違いではありません。ゼロベースで考えれば、心は必ず「自分は持っていない」ことを前提に、素直に反応します。
ゼロベース思考は、現実の変化は何もなく、意識だけで落差を作れるのです。
生活に大きなメリハリをつける
落差をつけるという意味では、生活のメリハリも重要です。休日が嬉しいのは、忙しい日々があるからです。食事が美味しいのは、空腹があるからです。
休日に、遊びに出掛けるとします。日々の仕事で手を抜いて、ダラダラとやっている人と、真剣に集中して取り組んでいる人とでは、その価値が違います。自分の楽しみやリラックスのために使える自由な時間に、大きな喜びが生まれます。
食事も、そうです。空腹時のディナーと、あまりお腹が空いていない時のディナーでは、喜びがまったく違います。ちょこちょこと間食をすれば、その時は小さな喜びがあります。しかし落差のある、大きな喜びは味わえません。
あらゆる欲求は、満たされないでいる内に大きくなっていきます。まだ小さい段階で欲求を満たせば、喜びも小さくなります。満たされない時間が長くなり、飢えれば飢えるほど、満たされた時の喜びは大きくなります。
足し算、引き算で考えれば、小まめだろうと一気にだろうと、合計した喜びの総量に大差はないのかもしれません。しかし人の心は、小さな喜びでは、退屈してしまいます。落差を作って心を大きく反応させた方が、主観としては充実した楽しい日々に感じられるでしょう。
まとめ
心は、完全に受け身の存在です。何の切っ掛けも刺激もなく、心からは動けません。満たされない欲求を溜めていき、「この欲求を満たせ」と要求をしてきます。
その欲求をどの段階で満たすのかを決めるのは、自分自身の意志です。落差をつけるという考え方は、心を強く彩ります。落差を自在に使いこなして、人生の充実度と満足感を上げていきましょう。
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