「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。常に不安感がある、というキーワードにしっくり来る人は、自分は何をどれだけ怖がっているのかが解っていません。もしもその対象が明確なら、何がという主語のない漠然とした表現は、ピンと来ません。
そのような方には、人生の棚卸しが必要です。自分が何を不安に感じているのかを明らかにして、具体的にどう動けば良いのかを知りましょう。
タップ、クリックできる【目次】
心を圧迫する、不安の苦痛
恐怖、心配、不安は、命を守る重要な感情
人の最大の目標は、生き延びること、生存そのものです。恐怖、心配、不安といった感情は、危険を避け、生存確率を上げるために備わっている機能です。
高い所が怖い、刃物の先端を向けられるのが怖い、病気になるのが怖い、といった感情があるから、落ちたら死ぬような高所には近寄らないし、暴力は避けようとするし、健康にも気を付けます。もしも人から一切の怖れを無くしたなら、無謀な行いによって、次々に命を落としていくでしょう。
ただし怖れは、あなたも重々、承知しているように、命の危機のみに発動するものではありません。財産、ステータス、名誉、家族、夢、など、本人にとって重要なものが脅かされるのであれば、そこに怖れが生じるのは当然です。
人は広範に、得ているものを失うことを怖れるのです。または、得られないことを怖れるのです。
不安は、弱めの屈服
人の精神状態は、一本のスケールを上下するように動きます。「強い幸福とモチベーション」を最高峰として、心が死んでしまう「無気力・感動」を底辺とします。その間に、退屈、イライラ、怒り、怖れ、などの感情が、グラデーション状にあります。
「怒り」の段階は、防衛ラインです。苦痛や衝撃によって精神が脅かされた時、怒りの攻撃性で自らを鼓舞し、屈服を拒否します。怒りを突破された下は、屈服させられた領域です。あとは深度によって、屈服の程度が変わります。
不安という感情は、屈服の領域では浅いところにあります。悲嘆、絶望、無気力・感動ほどには、追い込まれていません。これら深刻な追い込まれ方にあれば、即座に立ち上がるのは不可能です。けれども不安くらいなら、ちょっとした気合で瞬時に抜け出せます。
常に不安感がある人は、そこがホームポジション
精神状態には、ホームポジションがあります。特に精神状態をコントロールしようとせず、これといった外部からの刺激もない状態で、普通にいる場所です。
常に不安感がある人は、その位置がホームポジションになっています。他に意識が向く、良いことでも悪いことでも刺激があるなら、精神状態は上下のどこかに動きます。意識がニュートラルになり、刺激がなくなった段階で、またホームポジションに戻ります。
怖れの苦痛が精神状態を圧迫して、意識的に自らを鼓舞しなければ、あるいは運よくポジティブな刺激がない限りは、軽く屈服するまでに追い込まれています。
ここから、解決の方向性も自ずと見えてきます。怖れの苦痛の圧力を減らして、精神状態が均衡する場所、ホームポジションを上げてやれば良いのです。
不安の圧力を下げ、精神状態を向上させる
人生の棚卸しで、不安の原因を洗い出す
人生において、不安の種など、大小を含めて山ほどあります。考え付く限り、その全てを洗い出しましょう。
人には、「よく解らないものは、余計に怖い」という法則があります。何となく漠然としたものは、脅威度の正確な判定ができません。楽観的な人はそれを甘く見積もり、悲観的な人や臆病な人は、深刻に見積もります。
常に不安感があるという人であれば、まず楽観的なタイプではないでしょう。……ということは、棚卸しをして脅威度を正確に判定すれば、合計での不安圧力は下がる確率が高いです。
重要度、解決難易度のリストを作成する
ここから、実際の棚卸し作業に入ります。まずはあなたの人生にとって重要なものを、項目に分けてください。個人個人で異なるものですが、一般的なものだと、
・健康
・家族
・お金
・仕事
・社会的地位
・人間関係
といった辺りでしょうか。ここから、一つ一つの項目に、具体的な不安材料を入れて行きます。
・健康
血糖値が高い、花粉症が悪化してきた
・家族
妻とギクシャクしている、娘の受験
・お金
貯金が少ない
・仕事
会社の業績が思わしくなく、数年のうちに倒産するかもしれない
例えば、こんな感じですね。そこに、重要度と解決難易度を判定します。これは経験上の主観で構いません。重要度を5段階の数字、解決難易度を3段階の★マークで表現してみます。(こちらは勿論、アレンジしてもらって構いません)
花粉症が悪化してきた 重要度:3 解決難易度:★
妻とギクシャクしている 重要度:5 解決難易度:★★
と、このように全てをリストアップしてみましょう。
今、自分がすべき事を完全に整理する
重要度と解決難易度が出れば、優先順位を決められます。
重要度が高く、解決難易度が低い ← 真っ先に解決する
重要度が高く、解決難易度が高い ← 解決には当たるが、場合によっては諦める
重要度が低く、解決難易度が低い ← 余力のあるタイミングで片づける
重要度が低く、解決難易度が高い ← コストパフォーマンスが悪いので、放棄する
このような形で、今、自分は何をすべきなのか? 何をすべきではないのかが浮き彫りになります。面白いもので、意外に重要度の高いものが放っておかれていたり、逆に重要度の低いものに尽力をしていたりします。
というのも、人間は全てを合理的に考えている訳ではありません。時間の経過で重要度が下がっているのに、何となく惰性でやり続けていたり、たまたま目に付いた事をしていたりするものです。
解決、改善と共に、不安の圧力は下がる
リストアップして重要度と難易度が判明した段階で、多くのケースで、不安圧力は下がります。勿論、完全に見過ごしていた重要な問題点が浮き彫りになることも考えられます。
当然、全ては解決できません。しかし逆に、全てを解決できないというのも、起こり得ません。不安材料が解決、改善されていくと共に、不安圧力は軽減します。常にあった不安感がどうなるのかを、注視していてください。
またこのリストには、更新が必要です。重要度も解決難易度も、変動します。新たな不安材料が加わることだってあります。例えば年間4回のペースで更新して、常に自分が抱えている不安材料と、取り組むべきことを把握していてください。
肉体を整えるのも重要
精神状態、感情も、肉体という土台に大きく左右されます。精神に及ぼすホルモン分泌に異常があれば、それだけで精神状態は乱れます。
食生活、睡眠、運動、体の冷えなどを適切にして、肉体を整えるのも重要です。
まとめ
常に不安があるのは、不安材料に心が圧迫され、軽く屈服させられているからです。不安圧力を軽減すれば、心のホームポジションを上げられます。
人生の棚卸しで不安材料を洗い出し、重要度と解決難易度を付けます。そこから、今の自分は何を解決するべきか? が明確になります。不安圧力が軽減すれば、常に不安感があるという状態から抜け出せます。
不安がゼロにならないのは、当たり前です。大切なのは、その苦痛に屈服させられないことです。
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