「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。議論に勝って、他人や社会をコントロールしようとする人。他人を言い負かして、悦に入る人。何れにしても、敗者になるのは御免です。
シリーズ『議論に負けない方法』では、そんな彼らの卑怯な手口を検証します。今回のテーマは、「卑怯な手口1、情報を操作する」です。
タップ、クリックできる【目次】
議論に勝つ卑怯な手口
議論の本来の意味は、情報と視点の共有です。物事を判断するには、情報が不可欠です。重要な情報に欠ければ、判断を誤ります。また同じ情報であっても、見方によって姿や意味が変わります。
情報と視点の盲点を補い合い、より完全な姿に近づけていく。それこそが、議論に求められる本来の役割です。
但し、議論は悪用もされます。利害関係にある者が、利益誘導のために。特定の思想を持った活動家が、社会を動かすために。マウンティングし、優越感を満たすために。
議論で言い負かされない、マウンティングを許さないためには、彼らの用いる卑怯な手口を、知っておかなければなりません。
卑怯な手口1、情報の操作
重要な情報に欠ければ、判断を誤って当然です。意図的に情報を操作し、相手に「判断をするのに、十分な情報である」と思わせたなら、誤った結論を誘導できます。
二つの事例で、その手口を検証、ご紹介します。
コロナウイルス、PCR検査
例えば、コロナウイルスのPCR検査の結果は、陽性者数のみが大々的に報じられます。実は陽性者数だけでは、実態は把握できません。
検査数を増やせば、陽性者数が上がるのは当たり前です。この場合、陽性率も合わせて見なければなりません。
しかし実は陽性率を合わせるだけでも不十分で、どのような人を対象に行ったかで、陽性率も変わります。感染の疑いが低い無症状の人を多く対象にしたなら、陽性率は下がります。
このような内実を総合的に判断して初めて、実態を把握できるのです。感染者数も陽性率も、ある程度の範囲であれば、自由に操作できるという訳です。
仮に行政が、経済を動かそうと考えたなら、意図的に感染者数を小さくすることも出来ます。あるいは陽性率が重要! とアピールをしておいて、そちらを下げるのも可能です。
操作された情報だけで考えさせられる身では、そのまま鵜呑みにするしかありません。あるいは感覚的に疑わしさがあっても、反論する根拠がありません。
ジェンダーギャップ指数、121位
世界経済フォーラムが2019年に発表したジェンダーギャップ指数によると、日本は153ヵ国中、121位です。これを見れば、日本は世界で有数の、男女格差が激しく、男女差別が強い国と言えます。
女性活動家の多くが、度々、このデータを引用します。日本は世界に恥ずべき人権後進国で、女性にとって生き難い国である。女性は差別を受け、悲惨で不幸である。とする主張の根拠になっています。
しかし一方、2010年の世界価値観調査によると、日本は先進国一、男性よりも女性が幸せな国になっています。ジェンダーギャップが大きく、男尊女卑が激しいはずの日本で、男性よりも女性の方が幸せだと言うのです。
僕が見る限り、女性活動家の殆どは、前者のジェンダーギャップ指数は扱っても、後者の幸福度の男女差については触れません。なぜなら「女性にとって生き難い」、「女性は差別を受け、悲惨で不幸である」という結論に、不都合だからです。
それぞれのデータの中身を検証すれば、この捻じれ現象のからくりが見えてきます。ジェンダーギャップ指数を下げている大きな要因は、政治家と経済の重要な地位に就く女性の割合が小さいからです。
政治家になるハードルが高い、会社で出世し難い、といった事情で生き難さ、悲惨さ、不幸を強く感じる女性の割合は、さほど高くはないでしょう。一方、女性の幸福度では、専業主婦という属性が大きくポイントに貢献しており、むしろそのジェンダーギャップ社会の恩恵を受けて、幸福度を上げている構造すら伺えます。
この辺りの事情は、別記事『フェミニズムが日本で盛り上がらないのは、女性の方が幸せだから。』をご参照ください。
情報操作に対する、打開策
全体像を把握するために、必要な情報
自分はその情報に疎いと自覚しているなら、結論を飲み込まず、賛同を保留しましょう。自分でその分野の情報を調べ、判断に必要なパーツを揃えるようにします。社会問題など、既に多くの人が言及している題材であるなら、多くの情報発信に当たりましょう。
常に、「全体像を把握するためには、どの情報が必要なのか?」という意識を持ってください。
上記のPCR検査の場合には、検査数、検査を行った対象、の情報は必須であると理解できるはずです。女性は差別を受けて不幸だという主張に対しては、ジェンダーギャップ指数の低い項目と、その基準。及び、幸福度や生活満足度などの他の調査はないのか? という発想に至れるはずです。
また議論をする相手、情報発信者の属性に注意しましょう。利害関係者、活動家、思想に偏りのあるメディアは、結論を誘導するために、偏った情報を提示してくるものだと警戒しておきます。
まとめ
情報格差があり、それを悪用されれば、議論で勝ちようがありません。相手は恣意的に明かす情報、明かさない情報を選択でき、結論を誘導できます。
まず議論をする相手、主張をする者が示す根拠が、その結論を得るために条件を満たしているか否かに注意しましょう。自分がその分野の情報に疎いと自覚するなら、賛同を保留して、情報を集めましょう。
またある程度、相手の属性によって警戒もできます。利害関係者、活動家、思想に偏りのあるメディアなどは、度々、結論ありきで情報を寄せ集めます。
♦更新情報を、メールでお届けします。