「軽やかに♪ 心click」管理人、小池義孝です。鬱病の人に「頑張って!」と言ってはいけない。これはもはや、常識になりましたね。ただ何故か、鬱病ではない人にまで言ってはいけない空気になりつつあり、何だかなあという状況もあります。
整理する意味でも、鬱病の方に皆が適切に支援するためにも、少し掘り下げて解説します。
タップ、クリックできる【目次】
鬱病は、心の休憩時間
鬱病に至るメカニズム
その人の耐久性を超える苦痛があって、鬱病があります。これ以上、苦痛をまともに感じ続けていては、心が持たない。精神を崩壊させないために、守るために、感じるのを止めるのです。
ただ都合よく、苦痛だけを限定できません。やる気、元気、嬉しい、楽しい、好奇心なども巻き添えにして、ありとあらゆる感情と感覚を麻痺させます。言い換えれば、心に打つ麻酔のようなものです。
どうすれば鬱病は改善するのか?
そうやって感じる苦痛を減らしておいて、溜め込んだ苦痛を処理して減らしていきます。苦痛の総量が減れば、感情と感覚を戻せます。
一般的な精神科医も、「鬱病の治療に必要なのは、精神薬と休息である」と言います。精神薬は必須ではありませんし、副作用や依存などのリスクもあります。絶対に必要なのは、休息の方です。
安心で安全な環境に身を置き、心の機能に委ねます。苦痛の新しい発生に対して、処理が上回っていれば、折を見て鬱病と呼ばれる状況から脱します。
肉体的な要因もある
ただ鬱病については、肉体的な要因もあります。栄養素の不足、過剰な糖分、低体温、運動不足、睡眠不足、疲労、日光を浴びない、など、様々な要因が重なります。
こうした肉体的な要因もあり、精神的な苦痛があり、合わせて最終的な結果になります。
「頑張れ!」を言ってはいけない理由
頑張らないことに価値がある
鬱病は、強制的に心を休ませて回復を図る手段です。頑張ることとは、まさに正反対にあります。鬱病にある人は、頑張りたくても頑張れません。むしろ頑張らないことに、その価値があります。
ですから「頑張れ!」と言うのは、そもそも筋違いです。体が疲れ果てて座って休んでいる人に、「立ち上がって、ジョギングすると良いよ」と勧めるようなものです。
余計な自己否定を招く
頑張ることが正しいなら、頑張れない自分は間違っています。鬱病にある人にとって、「頑張れ!」という言葉の投げかけは、「お前は間違っている!」と否定されているに等しい。
もしも仕事を休んだり、家事も満足にできなかったり、といった状況を気に病んでいたなら、その言葉は胸に突き刺さります。頑張れない自分を否定して、それでも頑張れない自分に苛立ち、絶望します。
これでは到底、休んでいるとは言えません。会社を休むなどして肉体的には楽でも、自分を精神的に苦しめた原因から遠ざかっていても、これでは新たに苦痛を生み出し続けてしまいます。
潜在意識は、すでに頑張っている
休むと言えば、何もしていないように聞こえます。確かに顕在(けんざい)意識は休んでいますが、その分だけ潜在意識は頑張っています。
顕在意識と潜在意識とは、シーソーのような関係性です。片方が上がれば、もう片方は下がります。
心の苦痛を減らすのは、潜在意識の役割です。ですから顕在意識が下がっておけば、潜在意識が活性化して、苦痛を処理して減らしてくれます。
心を整える方法として、瞑想は世界的にメジャーです。これも顕在意識を下げて、潜在意識を上げる行為です。鬱病は、それに近い状態を作り出しています。
ですから何もせずに怠けているなんて、自己否定をする必要はありません。力を抜いてリラックスしていても、潜在意識がきちんと働いて前に進んで行ってくれています。怠けているのではなく、最善を尽くして頑張っています。
潜在意識もまた、自覚できないだけで自分自身です。頑張っていないけれど、違う意味でちゃんと頑張っています。
頑張って = グッドラック!
ただ気軽に使われる「頑張って!」という言葉に、文字通りの意味はありません。辞書を引くと、「困難にめげないで我慢してやり抜く」と出てきますが、こんなに重いニュアンスではありません。
せいぜい、英語で言うところの「グッドラック!」くらいのものです。誰も我慢してやり抜けなんて、思っていません。本質的には、応援です。
ですから「頑張って!」と言われる側も、事前に頭の中に翻訳機を設置していたら良いです。その言葉を言われたら、自動的に「グッドラック!」に置き換えて解釈できるように準備をしておきましょう。
そして言葉をかける側は、今の状態を承認するような内容にすると良いです。「人生には、立ち止まる時も必要だよ。焦らなくて良いよ」、「何があっても、大切な友達だよ」、といった言葉で救われたという経験談が、多くあります。
まとめ
鬱病は頑張らないのが仕事ですから、仕事の邪魔をしてはいけません! という話です。
苦痛が処理されて減っていくプロセスを、静かに根気づよく見守りましょう。
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